APT フィリピン2022年夏 4

前回までのあらすじ

アジアンポーカーツアー(通称APT)にやってきた、孤高のもりゃ〜ま。散々、散財してトーナメントに参加しまくるも、結局ミニインマネが一つだけ(8試合も参加)。失意のどん底から這い上がるためステーキ2枚を食べるが、満たされたのは胃袋だけ。三つの台風が合体し、行く手を阻む。どうする、もりゃ~ま!?

急いでパソコンを立ち上げる。やらなければいけないことが、いろいろある。

まず最初に手を付けたのは・・・19日と20日、どこでトーナメントをやっているかを調べた。どうやらオカダマニラでポーカースターズの大会が行われるらしい。このポーカーの大会は談合しているのか、それぞれ大会がうまくかぶらないように調整されている。

生きる目的が決まったなら、次は宿である。今のアパートメントは1日税込み5000円くらいだから、安くていいのだが、2日くらいであれば、前から気になっていた向かいのベルモントホテルに泊まってみたい。ここも一泊8000円くらいで、日本のビジネスホテルなみで手が届かないわけではないのだが、さすがに1週間泊まるとなると、性格的に安いほうを選んでしまうので、いつもチラチラ見ているだけだった。

最後に会社のチャットワークに「スマン。台風」と書き込み、荷物をまとめベルモントホテルへ。

やっぱり、ホテルはイイ。部屋の隅々を嫌味な姑のように見て回ると内装施工の荒い部分は見えるものの、全体的には綺麗だし、変な虫はいないし、シャワーも水圧や温度にムラがなく、なにより毎日掃除が入るのが素晴らしい。

普段はyoutubeは見るほうではないのだが、フィリピンのことを事前に調べていたら「じぇいそる」さんのチャンネルで、タクシー強盗に襲われている動画を見た。ポーカー仲間あるあるで、わり銃を突き付けられただの、何か取られたりというのは噂で聞くから、用心するにこしたことない。

移動手段はGrabがよいらしいので、久々にGrabを起動する。クレジットカードが登録できなくて、一瞬焦るが、現金払いもできるっぽいので、ひとまず車を呼んでオカダマニラへと移動した。

オカダマニラといえば、9月上旬に運営会社のユニバーサルという上場企業が

「オカダ・マニラの施設及び運営奪還に関するお知らせ」

という、IRで「奪還」という言葉を用いて、面白株ウォッチャー界隈に衝撃が走ったのが記憶に新しい。

簡単に説明すると、不正を働いて会社から追放された元会長の岡田和夫が、金で買収した警察を含む施設警備員を引き連れ、オカダ・マニラを武装占拠。それを無事に会社が奪還(物理)できたというニュースリリース。詳しくはいろんな記事が出ているからググってもらえばよいのだが、平和な日本にいる僕らからしたら「武装占拠」とか言葉、目にしないからいろいろな意味で驚きだ。

オカダ・マニラに思いを馳せていると、あっという間に到着。実は初めて訪れるからちょっとどんなカジノなのか楽しみ。

初と言えば、今回の旅で車移動も初めてだった。カジノとアパートメントの間はずっと歩いていたし、空港からも歩いて来た。車の窓から見えるフィリピンの風景がやけに刺激的だった。ポーカーやっているか、執筆をしているかの二択のシンプルな日々。

海外をまったく満喫していない。セブのポーカー大会に行った時、一度も海を見なかったことをふと思い出した。

それにしても、オカダマニラは広い。まだ開いていない店も多いし、工事中だらけなんだけど、全部完成するのが楽しみだ。なんか、全体的に大袈裟で「こまけぇこたぁいいんだよ」と言わんばかりの装飾とでかさがイイ感じだ。「大きいことはいいこと」という昭和の価値観を揺さぶる何かがある。

懐かしのポーカースターズだ。マカオにいたスタッフで顔を覚えている人がいた。相手はこちらのことは覚えていないだろうが、なんとも懐かしい気持ちになる。

本日は6000ペソの大会があり、そのサテライトにまずは参加。1400ペソという破格の安さ。定時に席に座っていると、やさぐれたフィリピンの労働者風のおじさんが向かいに座っているだけで、誰もこない。

さすがに安すぎるのだろうか。不安になっていると、15分後にはパラパラと人が集まり、30分にはテーブルが2つになった。

15分回しの1万点。レベル3までにJJ, QQ, AAが手元に入り、この度初めてのセットが2回できる。参加費が安くなればなるほどハンドが入る法則は、まだまだ現役だ。

しかし、レベルが深くなり、フロップ後のオープンエンドフラッシュドローで突っ込むが、当たらずに負け、正規の値段(6000ペソ)で普通に試合に参加することになった。

本番になるとハンドが来ない。さっきのハンドラッシュなんだったのか。

我慢に我慢を重ね、最後のハンドはKKで、9bbオールイン。A4にAを2枚当てられ、レベル10で終了。

12までリエントリーできるのだが、実は同じ大会が1時間後にターボイベントとして行われる。先ほどの昼からのはDAY1 Aでこれから同日にDAY 1 Bが行われるのだ。夜の7時から開始されるBの方に出場してリベンジである。

DAY 1 Bのほうは15分回しのターボになる。そして、まさかのハンドラッシュ!JJ, AJ, AKが当たってかみあう。レベル3には5.3万点(スタートは3万点)になり、気持ちに余裕ができる。

余裕ができると、ルーズになり、ハンド数が増えるのが人情というものだろう。

タイトな人めがけて24でスチール失敗するも4が当たって勝ったり、またタイトな人めがけてスチール失敗からのQ4の二本当たる、48でフラッシュ完成など、めちゃくちゃハンドがルーズな人になりつつ、がっつりと絡んでしまうラッキーが続く。

「貴様の24に先ほどAKがやられた。きっちりレイズさせてもらうぞ!」「4Qでフロップレイズするとかクレイジーか!?次はかぶせてやる!」「また汚いハンドじゃないだろうな!」とテーブル皆からヘイトを一身に受ける。

6000ペソだからか現地の人も多く、なんとなく和気あいあいとした感じだ。居心地が良い(勝ってるし)。

そして、レベル8には9万点を突破。

レベル10。またハンドがやってきた。BBポジションで、KKだ。カットオフがレイズ、ボタンがリレイズ。僕がコール、カットオフがオールイン、ボタンもオールイン、そして僕もオールイン。

カットオフがAJ, ボタンがAQ、僕がKK。ボードにJQが落ちるものの、何事もなくする抜ける。なんと20万点に到達。めちゃくちゃついている。

レベル16 ハンドラッシュがまたきた!AKやA4がトリップス。QQでショートを飛ばし、QKっでちゃんとKヒット。どんどんチップが増えて38.9万点。

歯を食いしばった渾身のブラフキャッチや祈り、ドローブラフなど打たずとも、簡単にハンドが入り、当たる。ポーカーってこんなに簡単なものだったっけ。

DAY2トーナメントで本日は上位15%が決まるまで実施するみたいだ。そうこうするうちに人がどんどん減っていき、ハンドフォーハンドがないまま、さくっと終了。なんとチップは47.8万点まで増えていた。

席にカメラマンがやってくる。「君がチップリーダーだ。写真を撮らせてもらうよ」いやー、生まれて初めて海外の日をまたぐトーナメントでチップリ通過した。グっと親指を立てた写真を撮ってもらい、夜食など食べずにすぐにホテルに戻った。(写真はどこにも使われることはなかった)

12時間もポーカーしていたので、さすがに疲れていたのだが、気分が高揚して眠りにつけない。まだ約70名くらいいるだろうけど、優勝しちゃうんじゃないだろうか。

・・・さらに飛行機が飛ばない次に日・・・

ホテルで朝食ビュッフェ。なんか、旅行に来たみたいだ。前の晩にパン屋やコンビニで朝食を自分で用意して、レンチンしないでいいなんて、とても贅沢な気分。

レベル18から本日はスタート。4000,8000,anti8000だ。残り人数は68名で。優勝賞金は日本円で100万円くらい。今日からはレベルが30分づつで上がっていく。

さっそくAQが当たる、AQがハイカードで勝つ。QQが唸る。スタートは上々。今日もツイてるぞ。

レベル22 1万2万anti 2万。ショートが次々と飛んで現在30名。

本日二度目のAA。アンダーザガンから僕がミニマムレイズ。bbがコールする。フロップでショートの相手がフラドロオールインしてくるがフラッシュを引けず、僕が勝つ。これで、75万点に。

人数が24人くらいになったとき、いったん、シートの引き直しが行われる。勝っている時はあまり風水的に移動はしたくないのだが、仕方ない。

レベル23 1万2.5万 anti2.5万。残り25人ほど。

チップは80万点。AQでアーリーポジションからレイズイン。bbの平野耕太の漫画に出てきそうな目つきがやけに鋭い女性が、悩んで35万のオールイン。あの悩みっぷり、下のポケットかせいぜいATくらいだと思う。コールだ。ここで一気に弾みをつける。

相手は思った通りA9h。ディモールト、ベネ!

ハート二枚。

ハートハートとなぜかテーブルの全員が女性の味方で、呼び込みをはじめる。そう簡単に落ちて貰っちゃ困る。

ハーーート!おっさんが叫ぶ。ファンか。

あの『ドリフターズ』に出てきそうな線の濃い女性、大喜びで立ち上がって、跳ね、周りの知り合いに声をかけまくる。ファンも喜んでる。ここで引かれるかーーーエイメン・・・。45万点になってしまった。

すぐあと、またAQがやってくるのだが、ヒットせず、チップが減っていく。

レベル24 15000/30000 anti 3万 残り19人。

bb3万点ってスタートチップと同じかぁ。だいぶ遠くまで来た感じがある。

気が付いたら、10.5万点の瀕死状態。優勝の夢を見ていたのに、まだファイナルテーブルでもない。なんとかダブルアップしなければ。

ボタンまで回ってくる。ハンドはA2。僕が3bb弱オールイン。bbは「さすがに行かなきゃ怒られるわなぁ。やれやれ」と8Jあたりでコール。無事にすり抜けダブルアップ。また1週し、ボタンまで誰もレイズインせず、僕がA8でオールイン。bbが任せろと行ってコール。A7が出てくる。

ディーラー、ナチュラル9vsナチュラル8~~と言いながらカードを配る。縁起がいいこというもんだ。A8の二枚が落ち2ペアになり、結果的にダブルアップ2回達成!50万点まで戻ってきた。なんとかなるものだ。

レベル25 20000/40000 anti 40000

みんなに等しく厳しい時代だ。スチール合戦が始まる。僕も26などで頑張ってオールイン。A9cがアンダーザガンで来る。Aは相手が先に入れてなければ自動的にオールインハンドだ。オールインすると、例の女性がコール。因縁の対決だ。

相手はKK。こちらはA9。

残念ながらAを引くことができず、負けてしまった。残念ながら優勝ならず、17位で終了。420人中17位だから、まあ頑張ったほうだ。賞金は22500ペソ()だった。当然ながら参加費が安いと賞金も安い。

これで延長戦のポーカーも終了だ。最後の最後に一つ、インマネできてよかった。これで9試合2インマネで、賞金金額はともかく打率はキープ。

APTも好きだが、スターズもやっぱりいいね。何よりディーラーが全員上手で配るのが早い。また今度こよう。

今回の旅だが、全体的にボッチ感を出していたのだが、実は懐かしい人にも何人か遭遇していた。

昔、京都にJETというアミューズメントポーカー屋さんがあった頃に、一緒に卓を囲んでいたTさんや僕がポーカーを10数年前に始めた頃に毎日入り浸っていた大阪のルージュ・エ・ノワール(Rouge et Noir)時代のMさんなど、5年ぶり、10年ぶりの出会いがあった。長くポーカーやっているとこういう再会があるから嬉しい。

たまたま隣に座ったフィリピン在住の日本人有名プロのYさんも僕のことを覚えていてくれた。「覚えていてもらって光栄です」と伝えると「ブログ、読んでましたから」と二重で嬉しい言葉をもらう。

強くなることよりも、ずっと続けることのほうが実は難しかったりする。僕もあとどれくらい続けられるか分からないが、せっかく10年以上続いている趣味なので、人生のステージはいろいろ変わってはいるが、続けていきたいものである。

海外ポーカーも問題なく実施されているし、これからも時間と財布と相談しながら、年に数回は行きたいものだ。海外で会ったときは、よろしくお願いします。あと、月に数回は京都のLejeか祇園のRiverというアミューズメントに、たまに顔を出しているので、見かけたら声かけてください~。

それでは、また次のポーカー大会で!