USOPハイフォン 最終

朝ごはんにフォーを食べるのがルーティンになっている。というか、バイキング形式とかではなく、強制的にフォーが出てくる。別日にいくつかのフォーを別の店で食べたが、ホテルのフォーが一番美味しかった。

フォーを脳死でズルズル啜っていると、目の前のおっさんが僕に挨拶をしてくるではないか。USOPと書かれた帽子を被っているから、九割九分ポーカープレーヤーだ。

誰だっけ、誰だっけ・・・。1秒間脳内を検索かけるも、出てこない。ええい、ポンコツめ、きっと過去に会った人だろう。

「こんにちは、USOPのスタッフの者です。あなたのことが書かれた記事を見ました。試合、頑張ってください(ニコリ)」

スタッフさんでよかった。初見の方だった。最近、物忘れが多くなってきたので、こういうのが割と焦る。

実は、今回の大会の前にアンバサダーである大川さんからネット上で僕のことを紹介してもよいかと聞かれていたので「好きなように書いていいんで、大川さんにお任せします」と軽く返事をしていた。

USOPの公式ブログかInstagramあたりに、ちょっと顔が出るのかなって思っていたら、ポーカー専門ニュースサイトのso much pokerにUSOPピックアッププレーヤーとして大々的に紹介されていたのである。(現在は記事が消えてる?)

記事内容は「キングオブサイドイベントのmorya-ma」とか「子供のミルク代を稼ぐためにやってきたぜ」みたいな感じのノリで、他の人々はポーカーを真剣にしている写真が使われているのだが、僕だけが子連れ狼のように祇園祭でベビーカーを押している画像が使用され、完全にネタに走っていた。

「本当に・・・好きに・・・書いている(ゴクリ)」そう、よくよく考えれば、大川さんは古き良きインターネッツの時代の牽引者だった。ネッツは面白くあるべき、で体が構築されている世代だ。

吉野家コピペ、侍魂、モナー、川越シェフ・・・忘れかけていた古き良きネット魂に触れた気がした。ネタブログを投稿している身としては、ネタ投稿はキャラクター性の強化に役立つ、いい援護射撃である。感謝の礼状をお送りしたのは言うまでもない。

※写真はホテルから少し遠出したところ

USOPの最終日。夕方からのショートデックに本当は出たいのだが、18時まで暇である。毎回このパターンで、前半戦の試合でお金をドブに捨てている気がする。でも、せっかく、わざわざハイフォンまで来ているなら、トーナメントに出ないと勿体ない。

普通のホールデムに座っていると、見たことがある人が二つ隣の席に座った。プロ選手のななちゃらさんだ。本大会、きわめて日本人が少なく、10数人くらいしかいない。数少ない日本人プレーヤーとして挨拶しておこう。挨拶は社会人の基本だ。

そう思ってチラチラとタイミングを伺っていると、隣のおっさんが『日本からやってきたのかーい?』とナンパ口調でななちゃらさんに喋りかけはじめた。よし、いいタイミングだ。『知ってるかい、彼女は有名なプロプレーヤーなんだよ!』と便乗し英語で会話に入っていくと『いやいや~~』とななちゃらさんは謙遜され、おっさんが『マジかよ。すごいね』と言って、そこでカードが配られ、会話が終了した。

そこから無言のまま30分くらい経過して、ふと暇になって携帯の画面を見ると、ななちゃらさんが「ベトナムでも私、知られているのかも~」と云う趣旨のツイートを見つけてしまう。もしや・・・と思い、次は日本語で喋りかけてみたら案の定「日本語、お上手ですね!」と褒められる。

これはけして内気なデブおっさんが勇気を出してプロ美女モデルに話しかけたけど、残念ながら、これといって褒めるところがなくて、考えに考えを練った結果、日本語喋れて偉い!という高度な皮肉を京都人風に伝えられたとかではなく、単純に外国人だと思われてたっぽい。

アワアワしながら「ぼ、ぼくは日本人なのであります!」と説明し「ツイートも見てます!」と取り繕うためのファンアピールするが、これが余計の一言で「恥ずかしい投稿をしてしまった・・・」とななちゃらさんまで天を仰ぐ展開になり、気まずい空気が流れる。

その後、ななちゃらさんにKKがやってきてダブルアップ。ナイス!と明るく声掛け。

なんと、その次のハンドで僕にもKKがやってきた。さくっと勝って「僕にもKKやってきましたよ。お互い、良い感じですね!(ニッコリ)」と空気を変えようと思ったのだが、僕の相手は何故かAAであり、見事にチップの半分以上を持っていかれる。株で大負けした中国人のように、呆然自失して項垂れている僕に慰めの言葉をかける、ななちゃらさんであった。

KKで負けた勢いで「自分、ブログやってるんスけど、今日のことを書いてもよいですか」と聞くと、快く許諾して頂けた。先日の優勝にも気が付いてくれ、祝いの言葉も貰う。いい人だ。それに比べ僕はただただネタに貪欲な人である。

ポーカーの方だが、追い打ちをかけるように、もう一度KKが3のセットに割られ、最後はポケットがAQにやられて終了。またもやホールデムは、レジスト終了までも持たずに退場する。

さて、次が本当の最後の試合、ショートデックだ。運ゲーと呼ばれがちなのだが、これもけっこう面白いゲームだ。前々回のカンボジアでWPTに出場した時に、プロの上手な動きを見て学び(この時はバブル)、前回のAPPTでは3位の結果を出している。タイミングとリズム、そして相手のショートデックへの理解が大事なゲームだ。

レジストがクローズする段階で、33エントリー。スタートチップが3万点(1万×3発)で、僕が現在12万点でチップリーダーである。

PLOとショートデックは、明らかに初心者が迷い込みやすいゲームだ。これが、PLO8やスタッド系、ドロー系になると初心者の数がグッと減り、急にテーブルが辛くなる。

今回のショートデックもよく分かっていない人がチラホラおり、その人たちのミスプレイが目立ち、僕のチップの糧となっている。セミファイナルとファイナルテーブルも半数の人が初心者だった。

賞金獲得ラインは4位から。最終テーブルの7人になったとき、危ないシーンがあったが、あっという間に3人飛んで、インマネが確定した。

僕を含めた3人がちゃんとプレイできており、1人がエイヤ系のおじさんである。まずはこのエイヤ系のおじさんにミスプレイをしてもらいたい。

さっそくチャンスが到来する。

僕がT9 vs A7

オールイン、コール。よしよし。そして、予想通りおじさんはエイヤとやってくる。

で最後にAが落ちて、僕が終了する。なんでや・・・。

これにて、全日程が終了。今回も1優勝2インマネ。前回に続いてすこぶる調子がよい。

飛行機がハノイの朝の7時55分という時間で、搭乗することが物理的に不可能なため、明日はハノイまで移動するだけの日だ。ゆっくりとブログでも書こうと思い、湖のほとりの静かそうなホテルをとっていた。(こんな日記ブログですが、執筆には10時間以上はかかっているのであります)

すると今回の旅を誘ってくれた大川さんが「僕は明日の深夜便だから、ハノイまで一緒に行こうよ。お昼とかも一緒にどうだい」と誘ってくださる。おお。

なんだかんだ、メル友の大川さんと食事できたのは1回だけで、喋れているようで喋れていない。僕がポーカーの予定を詰め込みすぎなのが原因なのだが・・・。

※記念撮影をお願いした。撮られ慣れていない人と慣れている人の図

「実はさ。こんなサービスを考えているんだけど、明日、感想を聞かせておくれ」とチャットでサービス内容の詳細が送られてくる。上場まで果たした実業家の企画書!

ハノイまで車で2時間もある。2時間みっちりと大川さんと喋ることができる。

98年にマイパソコン(NEC)を持ち、ジオシティーズでホームページを作り、高校時代は自作PCを組み立て2chにドップリはまり、2000年代からウェブ系の仕事をしているITキッズだった僕にとって、ホリエモンや大川さんらは時代を駆け抜けたスーパースターである。

そんな生きるレジェンドと2時間も語り合えるなんて、夢のようではないか。ポーカーをやっていると、普段は出会えないような人と出会えると言うが、まさにそれである。

わくわくしながら、明日は何を話そうかと考えをまとめながら、最後のハイフォンの夜を過ごした。

次の日、大川さんが今回の大会の主催であるクラウンカジノに掛け合って、カジノ専用車を手配してくれた。何から何までありがたい。

昨日の夜に温めていた質問、何から聞こうかなと思いながら、4人乗りのセダンの後部座席のドアを開けると、帽子を被った中国人がいた。「おっと失礼」と大川さん、運転手の隣の前の席に座る。流れで僕は中国人の隣に座る。カジノ手配の車のため、相乗りになったのである。

大川さんとは前後斜めの位置取りになる。軽く喋ってみるが、お互いとても喋りにくい!

相乗りしている中国人、英語もペラペラで深センで10店舗以上のレストランを経営している経営者らしく「僕の店ではさ、ザリガニ料理を扱っているんだ。日本ではさ、中国人がザリガニを勝手に川から採って食べてるって言われているだろう(笑)」と教養の高さも伺えるような、冗談も交えながら喋るタイプのハイローラーに来ていたエリートだ。

残念なことに大川さんも僕も英語ができてしまう適度に社交性を持ち合わせた社会人のため、道中は結局3人で話すことになる。みんな1時間も母国語ではない英語を喋ってくると、さすがに疲れてきて仮眠タイムとなり、用意していた質問を何一つできないまま「ザリガニ、あんがい美味しそうだなぁ」と夢の時間は終了した。

世間話やポーカー談義をしながら昼ご飯のラーメンを一緒に食べ、本日帰ってしまう大川さんと別れを告げ、予約していた湖のほとりのホテルにタクシーを走らせる。

「このご予約は・・・10月の予約ですね・・・」とホテルに到着後、困った顔のフロントから告げられる。「でも、ご安心ください!本日は空いてまーーす」と急に笑顔になる。最初の困った顔の顔芸、心配になるやん・・・。

カップルや女性二人組などが多い、シャレオツな屋上BARで一人、今回の旅を振り返りながらちびちびとビールを飲む。

まさか2か月連続で優勝できてしまうとは・・・。10年間(途中で空いている期間もけっこうあるけど)の海外でポーカーをやっていて、こんなに勝つ日が来るとは思わなんだ。長くやっていてよかったなぁ。しみじみとビールを飲み干す。

ぼんやりしていると、僕と似たようなボッチ男性客が入店。ガラガラの店内なのに、なぜか、僕の向かい側の席に、僕の方を向いて座る。顔を上げるたびに目が合う。しかも、NASAのTシャツを着ている。典型的な東南アジア顔で、ぜんぜんNASA寄りの顔ではない。

NASA男をこっそり隠し撮りをして大川さんに送る。おそらく空港で暇を持て余しているのであろう大川さんから、すぐに「引き寄せの法則!」と返信が来る。大川さんとのまとまった時間は多くは取れなかったが非常に貴重な経験をさせてもらった。また3年後や5年後くらいにはどこかでお会いできればなと思う。

年末年末は、仕事的にも気持ち的にバタバタと忙しくなり、まとまった時間が取れない可能性が高いので、おそらくこれが今年最後の海外遠征になるかもしれない。海外ポーカーブームも年々高まっているので、タイミングがあえば、ふらりと海外に行きたい(台湾で行われるAPTとかかなり魅力的だよね)。

そんなこんなで、ここまで長文を読んでいただき、ありがとうございました。

国内(京都)や海外でお会いする機会があれば、是非お声がけください~。ではでは!