APTテグ(3) 「メイントーナメント」

テグの街

※韓国の街は電信柱が少なくて、空が広く見える。

大邱市で一番栄えていると言われる大邱駅周辺にやってきた。

ポーカーのトーナメントはだいたい昼くらいから始まることが多いので、昼前に少し観光もどきのことをすることが多いのだ。

大邱駅周辺は繁華街っちゃー繁華街なのだが、どうも新宿とか梅田とか河原町のようではない。

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「なんというか・・・大津(滋賀県)っぽいよね」「あー僕もおんなじ事考えてました」とY氏から同意を得られた。

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さて、本日はメイントーナメントである。

実は昨日のデイ1Aは結局12人しか集まらなかった。人の少なさがさらに人を呼ばない悪循環に陥り、参加予定だった人たちもついついデイ1Aは参加を見送ってしまったらしい。

そんなこんなで本日は続々と日本人が集まり、なんやかんや4テーブルくらいからスタートすることが出来た。

また、APTのプロモーションの一つに「バブルプロテクション」というものがある。トーナメント開始直前に座っていると、万が一バブルで飛んでしまった時、バイイン代が返ってくるという保険だ。自分だけはバブルで飛ぶわけ無いと思うが、案外な確率でバブルになるものである。たぶん僕も海外行くと3回遠征に1回くらいの割合でバブってると思う。先日、さっそくバブルになってたしね!

メインイベントでバブルになるなんて発狂ものだ。座るだけで保証してもらえるので、この制度を使わなければ損である。

そんなこんなで久しぶりにメインのような長いトーナメントをレベル1から参加。序盤はめちゃくちゃ下手くそなので、いつもレベル3くらいから入るようにしているのだ。

座ると、やはり日本人だらけのテーブルだ。10人中8人は日本人。しかも圧倒的に関西人が多いので知った顔だらけである。

日本人同士だとタイトなのか、あまりバリューがとれず、AK根性コールが2ペアに負けたり、QQでフルハウスに突っ込んだりして、早い段階で2万点あったチップが7500まで落ち込む。ううん、やっぱり序盤に入ったのは間違いだったか。それでもストラクチャーはゆっくりなので、そんなに焦らなくて良いのがせめてもの救いである。

ふとWSOPの調子も良かった時を思い出す。あの時は序盤に手が入らなくなって、酒に手を伸ばしていた。日本国内のアミューズメントカジノでもお酒を呑むと精神が落ち着く効果があったことを思い出す。

「いいこと思いついた・・・ガソリン、入れてきますわ」ドッコイショと席を立ち、韓国ビールのCassの生ビールをバーカウンターから貰ってグビグビと呑みだす。完全にポーカーに飽きたおさかな社長さん的行動なのだが、この一連の行動が運気を呼びこむ儀式なのである。

するとなんということでしょう。あんなに絡まなかったもりゃ~ま家のハンドが、フロップセットになるではありませんか。しかもビール呑んでダラダラ打ってる感も出しているので、20BBオールインもコールしてもらえた。嬉し恥ずかしダブルアップ。がらんとして寂しかった我が家の前に色とりどりのチップの山が積み上がりました。

それからも調子よく、今度はKKがセットになる。同じ関西組のガネーシャの奥林君(自称OKB48)からガジガジとチップをガジリとり、その後もぼちぼちスチールやブラフキャッチが決まり、2万5千点まで回復した。調子に乗ってもう一杯酒をお代わりする。

しかし、調子に乗りすぎて99でレイズ&コールにスクイーズのつもりでリレイズすると、なんでもついてくるタフなプレーヤーに「36」付いてこられてストレート作られて1万点ほど負けた。

そこからは何も入らず、スチールも決まらず、デイ1が終わる頃には1万点ちょいになってしまい。順位は下から数えた方が早いくらいになってしまう。若きルーキープレーヤーの僕の同室のY氏は軽々とアベ以上でデイ1を通過。ううん、この差はいったい・・・。酒か。酒が悪いのか!?

次の日のデイ2。

結局2日合わせての総人数は64人だったらしい。デイ2に通過したのは44名。内32人が日本人。小ぶりな大会だが、トロフィーのチャンスは高いいうことだ。

ゆっくりめのストラクチャーとはいえ、さすがにショート気味のプレイヤーはどこかで勝負に出かければいけないレベルになってきている(300-600)。序盤でAAでダブルアップするが、じわりと減り、また10bbくらいになってはQQでダブルアップと、ギリギリの低空飛行でなんとか生き残る。

残り25人くらいになったとき、またもや10bbのショートになってしまう。どうも続けてハンドが来ない。スチールだけでは現状維持するのに精一杯で、レベルが上がるたびに苦しくなってくる。インマネは9位からなので、まだちと遠い。

「1010」と初日のサテライトで飛んだハンドが来た。「ええい儘よ(ままよ)」とチップを全部前に押し出すと、オマハトーナメントで僕を倒して優勝した男がエイヤッと僕より少しだけ多いチップを前に押し出してきた。他のプレーヤーは全員降りた。さあ、まさに因縁の対決(僕の中で)。次こそ倒してやるぜよ、とフンハって鼻から息を出して立ち上がる。

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よし、相手はAKだ。当てられなければ勝つる。

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せいせいせいせい。これは勝ったか!

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せーい。また負けた。

これにてメイントーナメント終了。25位。なかなか難しいものである。

すぐさま別のトーナメントに参加する。序盤はメインの鬱憤を晴らすかのように調子が良かったのだが、途中で日本人プロ4人に囲まれ、じわじわ削られていく。最後は髪の長い有名日本人プロに僕のAQプリフロオールインを57で受けられ、ストレートで叩きのめされる。

次だ次!と気を取り直して、今度はさらに安いトーナメントに出場。一日に三つもトナメが遊べるのが、この間も書いたがAPTの良い所だ。

約1万7千円程度で入れるトナメは、プロ比率が低くて、最初のうちは僕がテーブルを支配することが出来て大変気持ちよく打てていたのだが、レベル6終わりに金額が高いトナメに負けたプロ(土川さんとサム)がやってきて、あっという間に僕の天下は終了させられた。

プロがやってくると一気にテーブルの雰囲気が変わる。

平和だった琵琶湖にブラックバスが放たれたような、そんな生態系破壊を彷彿とさせる環境の変わり方だ。リンパーだったあの子もこの子も急にリンプしなくなったり、リレイズが飛ばなくなったりして、リスチールやフロップブラフで刈り取れなくなってしまった。

「プロ(土川さん)許すまじ」と政権奪還を狙う野党のように大ブラフを土川さんに仕掛けるが、まんまと僕のマニュフェスト(ハンド)が嘘だらけだということが見破られ、チップの三分の二が逆に奪い取られる。

連日連夜、土川さんにチップを取られまくっているので、めそめそいじけていたら「もりゃ~ま君、君はカルグスクを食べたことあるかい?韓国のうどんのようなもので近くに美味しい店があるんだ。明日にでも一緒に食べに行こうか」とお昼ごはんに誘ってもらえた。

美味しいものは皆で食べるとより美味しくなる。「京都組も誘って行きます。あ、でもOさんは気分屋なので、朝になって突然蒸発することもあるので、行けなくなったらすいません」「なら、軽い感じの現地集合で。お互い行けたら行くってことにしようかー。僕も寝てるかもしれないしね(笑)」と土川さんはなかなかジェントルなお方である。

そんな会話をしているうちにチップがなくなり、最後も強めのハンドが弱いハンドにしぶしぶコールされ、ローヒットされて試合終了。ううん、4連続で勝率が高い方のハンドでプリフロールイン負けた。続く時は延々に続くから、いつ止まるのやら。

ホテルに戻って荷物を置き、京都の大御所ことOさんと2人で軽く晩ごはんを食べに東大邱をプラプラ歩く。お昼に僕が目をつけていた、綺麗めな焼肉屋っぽい所があったので、そこに入る。ありがたいことに日本語メニューもある上に、日本語を喋れるスタッフもいた。久々に飯関係で引きがいい。

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※肉を食べないとセットが引けない。

「ポーカー。やられるんですか?」その日本語を喋れる女性スタッフがOさんが服に貼り付けているポーカーシールを見て聞いてくる。「はい、僕たちはそのために来たんですよー。」「私、ここで働く前はカジノでポーカーディーラーしていたんですよ~」「え!じゃあ、大邱でポーカープロしている○○さんや○○さんって知っています!?」「ええ、たまにここにも来てくれますよー」「なんとーーー」偶然ってあるんだねえ。

そんな感じで、メイントーナメントも終わったので、ゆっくりのんびりと大邱を満喫することに切り替えた我々だったのであった。

~~~つづく~~(次回最終話)