マニラメガスタック 2023年2月 (その2)

朝のビュッフェ会場には、やたらと赤い服を着た人がいる。どこかの企業の懇親会や社員旅行でも行っているのだろうか。

そのせいか、ビュッフェ会場は少しだけ列ができていて、席に座るため数分待った。もちろん、朝の8時というゴールデンタイムというのも影響しているのだが、混んでいる。

赤い服の人たちが壁に映し出されたロゴの前で写真を撮りだした。ロゴをよく見ると、Jolibeeじゃないか!?赤い服のロゴもJolibeeだ。まさかジョリビー懇親会がこのホテルで行われているというのか。

謎を解いたことによる、なんだかよく分からない謎の感動とエレベーター混むんじゃないかという些細な不安に包まれながら、品数が10品以下のビュッフェを黙々と食べる。

ポーカープレーヤーは往々にして、食事をおろそかにしがちである。トーナメント次第で食べれたり食べれなかったりするため、基本的には不規則な生活になる。しかし、トーナメントが始まるのは昼以降なことがほとんどのため、朝ごはんだけはしっかりと食べることができるのだ(起きてさえいれば)。

だから、ホテルをとるときは、できるだけ朝食付きのものを選んでいるのである(予算さえあえば)。ちなみに朝食は美味しいかというと、まずくはない、という代物だった。

朝ごはんを済ませ、ホテルに部屋の変更について尋ねると、昨日のうちに変更手続きをしてくれていたのか、11階の上層階の鍵を渡された。

ワクワクテカテカ(略:ワクテカ)しながらドアを開けると、部屋はパッと見、綺麗だ。一枚目、合格ってやつだ。

・・・肝心なのは、水回りと音だ。

まず水回り。なんということでしょう。トイレとシャワーの間に透明な仕切りがあるではありませんか。シャワーを浴びるたび、この世の全てがびしょ濡れになるという悩みは、もうこれで大丈夫。普段から気難しい、もりゃ~まさんも思わずこれにはニッコリ。

窓際に駆け寄って、耳をすませば・・・「おまえを乗せて、坂道のぼるって、決めたんだ!」という青春を謳歌している若者のタガログ語も車のエンジン音も一切聞こえないではないか(さすがに甲高いクラクションは聞こえるけど)。道路側じゃないというだけでこんなにも世界は変わるものなのか。というか、部屋に差がありすぎる。

もしや・・・と思い、シャワールームに舞い戻り、蛇口をひねる。

「ラピュタは本当にあったんだ・・・」と言わんばかりの感動が、お湯が出たことで味わえるとは。ただ、暖かいお湯の錬成による等価交換で水圧は失われてしまった。何かを得ることで何かを失う。まるで人生のようだ。

ホテル問題が無事に解決し、あとはトーナメントに優勝さえすれば、もう人生も上がりというものだ。

水木しげるのキャラのように鼻息を「フンハッ!」と吐き出しながら、大股でオカダマニラへと足を運んだ。

MANILA MEGASTACK(マニラ メガスタック)のキックオフは、ABC併せて480人も参加したようである。残りは72名。思っていたよりめっちゃ多い!

先日はターボで15分でレベルが上がっていたのだが、本日は40分だ。倍以上ある。

しかも、レベルが17まで巻き戻るではないか。昨日は「レベル20 6000/12000」で持ち点が15,500点という約12BB程度だったのが、レベル17まで戻ると「3000/6000」だから、持ち点が20BB以上になる。嬉しすぎて、犬のように野や山を駆け回りたい気分だ。

ギリギリ通過の人が多かったのか、さくさくと進み、レベル18には55人になった。僕は18,500点とちょっとだけ増え、賞金が一つレベル上がった。

レベル19(5000/1000)でAJのオールインスチールが成功して、22,000点になったが次のレベルでAKが滑り、17,000点に。

レベル21。全員が降りて、bbの僕とsbだけ。sbがオールイン。手元のハンドはA9dである。余裕のコール。すると相手からはA5が出てきて「あいやー」と顔をしかめる。

ガットショットフラッシュドローまでついたぞ。

8TQ3
8TQ38! キッカー・・・入らない!?

ん。まさかの引き分け!!?この大事な時に!!

がっくりとうなだれ、次のハンドを開く。JJだ。なんとなく、嫌な予感を感じる。運気の流れがさっきの引き分けで、悪くなった気がする。オカルト信者はすぐにうろたえがちなのだ。

とはいえ、10BB以下のショートは選択肢がない。JJでオールインすると、ペロリとAAが出てきた。二日にわたる試合はこれにて終了。480人中、32位。賞金額は30,500ペソ(日本円で7.5万円)。参加費が倍になって帰ってきた。31位から賞金が上がって、35,000ペソだったから惜しい。うーむ、やはり賞金額はトップ10からじゃないと微々たるものだ。

次の試合だが、現在レベル5あたりまでプレイしているフリーズアウトに出場するべきか。それとも1時間ほど待って、オマハにするべきか。UUUMと1分ほど悩む。よし!オマハはほとんどプレイする機会がないので、オマハにしよう!

ちなみに、普段からオンラインポーカーをやっているわけではないので、オマハは本当に現地トーナメントくらいの経験しかない。コツやtipsは、昔、プロの土川さん(GACKTの師匠)に教わったくらいで勉強もそれほどだ。なんなら、ポッド計算すら怪しい。

「オマハ・・・あまり経験ないんで・・・」と敬遠する人が多いのだが、自分がよく知らないゲームほど、成長曲線がググっと上がるのを実感できる。それこそ、ポーカーを覚えて最初の一か月のような、「なんて、面白いゲームがこの世にあったものなのか」と、あの熱に浮かれた感覚をもう一度味わうことができるのだ。皆さんもぜひ。

オマハ、レベル7くらいまでまったくチップ量が変わらず、ヨコヨコ。試合はレベル8(500/1000)で動く、TJQKという割と良いハンドでポッドにコール。ボードはJJ8でトリップスができた。プリフロップをポッドしていた人、再びポッド!僕はすかさずリポッドと叫び、無事にAAほにゃらら(忘れた)の人からチップを奪い、5万点に。5000ペソのバウンディチップももらえた。

レベル12にもトリップスができて、攻めるも、プリフロップでフルハウスを完成させていたおじさんに負けてしまう。そして、最後はKのセットで突っ込むものの、リバーでフラッシュを完成させられて負けた。17位/65人で終了。9位から賞金獲得だったので、あともうちょっとーって所だった。

バウンティチップ分でメインのサテライトに出場できるので、レベル5でもう20BBしかなかったけど、参加!サテライトになると急に強くなって、すぐにダブルアップして順調に駒を進めていくものの、さすがに運が続くことなく、29位/81人という、なんとも度し難し順位で終了。本日、最後のあと一押しの運が足りない。

時刻は11時半。日本時間では12時半。さすがにくたくたになったので、晩御飯をオカダマニラのペッパーランチで食べて帰った。ちなみに初ペッパーランチ。そういえば、日本でも食べたことがなかった。焼肉定食的な食べ物だった。

三日目は散々な日だった。

10,000ペソフリーズアウトに出場。レベル1から参加。AKを降ろされたりし、じわじわと減っていくばかり。

事件はレベル5に起こる。レイズ、コール、コール、ボタンの僕も22でとりまコール。すると、日本人のしっかりした若い上手な子(マークさんではない)がbbからかなり大きなレイズ。これはスチール決めにキてるなと思って、22でオールイン。リスチールや!上手なマークさんもやっていた。

ところがどっこい、AAが出てきたではないか。ボードに2や関連商品が落ちることなく、すんなり負ける。すごい阿呆な負け方だ。久しぶりにこんな無茶をしてしまったかもしれない。

時刻は昼の1時半。次の試合は夜の8時だ。7時間半もある。何をしようか。数年ぶりにキャッシュもありだし、スタバで篭もって、ひたすらブログ記事を作るのもよい。目的が何もない時間って案外、新鮮だ。

日本に帰ると、なんやかんや仕事だのなんだのと時間が勝手に埋まっていくので、ここでブログを書けるだけ書いてしまおう。執筆には、いつも10時間以上かかっているので、まとまった時間があるのはありがたい。

さっそくスタバの2階に場所を確保したものの、クーラーが効きすぎて寒い。あまりの寒さにコーヒーすら倒して、中身をこぼしてしまった(>_<)。

ここはダメだとオカダマニラの中を練り歩くようにうろうろとする。いくつかの場所を見つけたが、最終的に、3階のイベント会場の横のたまり場のようなところを見つけた。

こいつは素晴らしい場所を見つけたぞ。カジノ客も観光客もいない。今日は「経営者の懇親会」みたいなものをやっているようで、フォーマルな人をチラホラ見かけるだけだ。入口付近でやっているイベントで奥のほうは何も使われていない。決めた。ここに住もう!

7時間半も時間をどうやって潰そうかと考えていたのに、気が付いたら7時間もくもくと文章を書いていた。杞憂だった。人生は一瞬だ。

さあ、ノックアウトバウンティだ!

勇み足で参加するものの、まったく手が入らない。レベル6までAがらみではA4、ポケットではTTがベストハンドという手の悪さ。QKやTKなどでも参加を試みるが、いずれもストレートドローやフラッシュドローまでにしかならず、降ろすこともできぬまま、チップが減っていく。

周りの皆はフロップストレートvsフラッシュドローみたいな勝負して、フラッシュでまくったりしている。強いハンドが当たり前に入っている。しわ寄せがすべて僕に来ているかのようだ。ツインズという古い映画のダメな兄弟のほうみたいだ。なんか、今日はQQあたりのハンドで喜びのオールインして、絶望のKにペロリと当てられて負ける予感がする。

レベル7。ショートになってきたので、77ポケでオールイン。A2相手にダブルアップ。18600点。まずは1勝か。しかし、レベル8でさくっと敗退した。

JQを持ってレイズインしたところ、ボードが56J。これはもうさっさと入れたほうがよいと思い、オールイン。すると、56と6Jがいて、Qが当たることなく終了したのだった。6Jかーー。

なんか、どんどんハンドとの絡み方が悪くなっている気がする。明日のメインイベントが不安だ。幸先いいぜーって言っていたのが遠い過去のようだ。もうこのまま日本に帰って、過去の栄光(1インマネ)にすがって生きていきたい。

その日はコンビニでビールを2本飲んで寝た。

つづく