APT フィリピン2022年夏 2

ドライヤーがどうやら替わっていないように見える。しかし、スイッチをオンにすると「ぐあああああ」と僕のたるんだ二の腕まで巻き込んでブルブルと盛大に振動する。なぜか理由はわからぬが、奇跡の復活を遂げたようである。

昨日の晩ファミマで買ったカレーパンをオレンジジュースで胃に流し込んでいると、ペンポンとなんだか懐かしい感じのチャイムの音が。おや、誰か来たようだ。

寝巻のまま、ドアを開けると善良そうなフィリピンおばちゃんが「昨日言っていたドライヤー」と手渡ししてくれた。もう少し時間が遅ければ、旧ドライヤーによる感電と爆発のフラグを回収するところだった。

このアパートメントは部屋の掃除もバスタオルの変更もなく、airBnBスタイルだ。好機到来!とばかりにおばちゃんにバスタオルの替えをお願いする。快く引き受けてくれた。よかった、これで2枚のタオルで1週間を過ごさなくて済む。

本日のポーカーはこの旅のメインイベント、チャンピオンシップトーナメント。82,500ペソの参加費(206,000円くらい)の負けられない戦いだ。140円台の円安で、日本円から参加すると割高感がある。

5万点持ちの1時間回し。めちゃくちゃディープでゆっくりポーカーができる。

レベル1の5ハンド目、なんとAAが手元にやってくる。幸先が良いと考えるべきか、ここで運を使い果たしたと悲観するべきか・・・。レイズイン。ワンコールもらうも、何事もなくCBを打ったら終了。小銭を拾う。

3時間経過。こつこつと小銭を稼ぎつつ。6万点と悪くない増え方。

レベル3の中盤 200-400 anti 400。今度はKKだ!今日はもしかして、ツイている日なのか。最高じゃん。

アーリーポジションからリンプインが入る。カットオフの自分は2,000にレイズ。BBがコールして、アーリーがダウン。ヘッズアップ。

BBの人、3,000のベット。この方、あと10,000点くらいしかチップを持っていない。セットであれば、潜っているだろうし、フラッシュドローかQヒットな気がする。リレイズでフラッシュドローは降ろせるし、Qなら最後までついてきそうだ。

8,000リレイズ!

すると相手は、ああ、と首をぐるりと回し、投げやりにチップを全部入れてきた。もちろんコール。IZA!

あーーートップヒットフラッシュドローなーーー。Q4かーーー。けっこう面倒だなーーー。『ザ・ファブル』的な感想と言葉が脳裏に浮かぶ。

僕ができることと言えば、フラッシュにならないよう祈るだけだ。

げ、トップヒットオープンエンドフラッシュドロー。僕の信仰心が試されているのか。祈れ祈れ祈れー。

神よ・・・。

順調に増えていたチップは4万点弱になり、スタート地点以下になる。4を拾ったBBのフィリピン人は嬉しさのあまり、周りの友人たちに大声で自慢をはじめる。20万円の賭けてなければおおらかな聖母のような気持ちで微笑んでいたのだが、今日は「ぐぬぬぬぬぬ」「Q4!Q4!Q4!」とカイジの画面が歪んでいる状態だ。

レベル5突入。46100と、ヨコヨコ。減りもせず、大きく増えもせず。本日2度目のAAが来た。わりとハンドはイイね。

レイズすると、二人にコールされるも、なんとかフロップで降りてもらえた。昨日からQQとKKと負けてるから、ほっと肩を撫で下ろす。5万点以上を回復。

レベル6。AQが来てレイズ、相手からリレイズ。コール。お互い何も当たらなかったが、僕のブラフをキャッチされる。相手はAK。キッカー負け。また4万点に戻ってしまう。そして、あの4Qのフィリピン人とヘッズアップになり、66で最後まで根性コールしていたら、すんなり負け、ちゃんと相手には手が入っていて2.2万点に。

いかん、6時間半のプレイで集中力が低下しまくっている。たった2回のハンドで半分以上減らしてしまった。こつこつドカン。いつものやつだ!

レベル7。また来た。あのKK。1時間に一回、良いハンドが来る。良くも悪くもチップが増減する手だ。しかし、今回は誰もコールせず、スチールで終わる。レベルが上がって、皆少しづつハンドを選び始めているっぽい。

AJoが手元に。レイズイン。一人ついてくる。フロップはJQ6だ。もう、だらだらとできるチップ量ではない。押し込め!とオールイン。すると、迷った相手がT Jでコール。たぶん、僕がAKあたりと過大評価したのだろう。

無事にダブルアップして、3.9万チップまで回復。ちょっと目が覚めた。このチップは大切にしなきゃ…

レベル8 1000/1000 anti1000

テーブル移動になる。最悪なことにK KポーカーのプロとGGのプロがいる同じテーブルにいる。絶対に相手にしたくなかった人たちだ。おまけに、テーブルのチップ量がさっきいた所と全然違う…。「すでに、このテーブルは11人も飛んでいるんだよ〜」と陽気にプロが答える。全体で30人未満しか飛んでいないはずだ、その⅓がここで息を引き取っているわけだ…。

案の定、3ベット、リスチール、タフコールの応酬が飛び交う。20bbちょっとのワイにゃ、気軽に参加は難しすぎる!

結局1時間で1回、A8でオールインでスチールが成功しただけ。チップは23500まで減ってしまった。

なんか、しょんぼりしてしまって、APT側が無料提供している、簡易的なご飯を晩御飯にして、とぼとぼと一人、アパートメントに戻ったのであった。

・・・次の日・・・

本日はチャンピョンシップのDAY2ではなく、サイドイベントを二つ出場予定。チャンピョンシップのDAY2は明日行われるのだ。

スーパーディープスタックターボ。20分回しの2万点持ちのトーナメントだ。

レベル3。KKがキタ!アーリーポジションからレイズインすると、オールインをかぶせてくる人が・・・。KKで引くわけにはいかないので、コール。すると、AJoが出てくる。安いトナメはこういうことをする人が多い。

Aが落ちて、試合終了。1時間未満の短い命だった。地味に参加費4万円もしたのがきつい。

次は、ハイパーターボトーナメント。1万点持ちの15分回し。気分はアミューズメントカジノバー。

AT で2ペア、66で3ベットで降りてもらう。AKが当たる!参加費が安くなると途端にヒットし、良いハンドがやってくる。レベル3は、18000点で調子よい。さらにAK>A9で27000点に。フィリピンに来てから、ようやく調子に乗れてきた気がする。

レベル7 500/1000 anti 1000。QQがやってくる。カットオフから2500のレイズイン。BBがコール。フロップ

相手からドンクベット6000。相手は後ろに1万程度。ここは降りてもらおうと、オールイン要求。すると、しばらく悩み、相手はコール。ハンドはTJ。こちらのハンドを見て「ナイスハンド!」とテーブルを叩く。

相手に2ペアができて上がり、一気にチップが1万点弱まで減ってしまう。ううん。

レベル8 1000/1500 anti 1500

10BB 以下になってしまった。カットオフが3000とミニマムレイズ。僕のハンドは、K8。何か当たれば、自動的にオールインしよう。コール!

するとキングが当たった!これはいいかも。オールイン!

すると、相手は微笑みながらAKを見せてきた。スチールやなかったんや!うわーー。

また負けかー。

うわーーー!やったー!なんか久々にまくった気がする。大体、ハンド通り負けることが多いから、こういうの久しぶり。なんとかチップも2万点代まで戻す。

ぐるっと一周回って、先ほどの人がまたミニマムレイズ。僕のハンドはAT。リスチールだ!とオールインをすると、相手はK4でコール。何事もなく僕の勝利。たぶん、さっきのでチルってたんだと思う。2ハンドで4万点まで帰ってきたぞ。

そして、ついにバブルタイムへ。バブルタイムとは、あと一人いなくなれば、賞金が獲得が確定する時間帯である。時計を止めながら同じハンド数を全員で行う。今回は19位から賞金確定。

ちょうど休憩に入ったので他のテーブルのチップ量を確認する。僕は4.2万点あり、僕よりチップ量が少ない人が6人もいる。まあ、安心だろう。

2ハンド目にさっそくオールインコールが隣のテーブルから聞こえた。一番少ない人が勝って、試合続行。くぅー(ジョン・カビラ風)。

3ハンド目に別テーブルからオールインコール。さくさく進むね!しかし、またショートが勝つ。くぅーーー。

5ハンド目。僕のテーブルのショートの人がオールイン。無事にスチール成功して、僕よりもチップが増える。7ハンド目も同様に、同じテーブルの僕よりすくなかった人がスチール成功。くぅーーーーーー。

あれ・・・僕が二番目にチップが少ない人になってないか?まずいぞ。

BBがやってきた。3,000/6,000 anti 6,000。1.2万点を入れて、残り3万点。5bb。そして、ハンドはKK。

うわッ。これって、A6あたりがスチール狙いでレイズインしてきて、僕がコールし、そしてAがペロリと落ちて、バブルで飛ぶってこと!?このチップ量でKKを降りるなんて到底できないしさ。地獄への道が完全に好機で舗装されている感がヤバイ。こんな絶好のチャンスは、絶対ピンチじゃん。

ディール開始。

ダウンダウンダウンダウンダウンダウンダウン。全員ダウン!何もしないで勝った!

「OH!見てくれよ、このハンド!ようやくダブルアップチャンスが来たというのに、どうしてみんな降りるんだYO!(英語)」と急にイキりだす、もりゃーま。

その瞬間、隣のテーブルで誰かが飛んで賞金獲得確定!もう1手早く終わっていれば、こんなKKで悲観することなかったのに。

バブル確定後のSB。僕まで全員ダウン。僕とBBだけだ。ハンドはK8h。悪くない。オールインや!

すると、BBが10秒ほど悩み「そのチップ量だと降りるわけにゃ、いかんしなぁ」と困った笑顔を見せながらA2oでコール。

フラッシュドローがつくものの、最後にAが落ちて、終了~。19位/111人参加でフィニッシュ。とりあえず、まずは小さいけど、インマネ一つ。

賞金は9500ペソ(2.3万円)。参加費が7700ペソ(1.9万円)だったから、差し引き4千円の勝ち。ほぼ、参加費が帰ってきた感じ。

ちなみにAPTのサイドイベントは入賞しやすいように設定されているので、賞金額はちょっと他のトーナメントと比べても少しだけ少なくなってしまう。ただ、僕のようなエンジョイプレイヤーはインマネそのものがとても価値のあるものなので、割とこの設定は気に入っている。

そのまま、軽く晩御飯をたべ、プレーヤーズパーティーへ。

あまり参加する気はなかったのだが「酒とまともなビュッフェが無料ですよ」とAPTジャパンのウエスティンさんに誘われ「夜10時スタートで遅いし、もしインマネできたら行きますわー」と言っていたからである。

昔、ユーチューバーデビューされたオーノ塾のオーノさんとクラケンさんのおじさん3人でベトナムのプレイヤーズパーティーに参加したのだが、定時には始まらないし、ご飯もなかったし、深夜回ってようやく始まり、始まったら始まったでウェイウェイ感が半端なく「これってただのクラブでは?」とトボトボと日系ラーメン屋に逃げ込んだ記憶がフラッシュバックする。

カジノの1階の昼にBINGOが行われている場所でパーティーが開催されるみたいだ。恐る恐るウエスティンさんに誘導されて入っていくと、本当にご飯もお酒もある!何もないと思って晩御飯を食べてきたのだが失敗した。下振れ。


見渡すとけっこう日本人もいる。知っているのはカジスタの方くらいで、あとは本当に誰も知らない。みんな、知り合いと来ている人が多く、ボッチ参加は僕ぐらいだ。いや、そもそもボッチ勢はパーティーにゃこないか・・・。

ウエスティンさんに関西人が多いテーブルに案内してもらう。「だいたい一人でもじもじしているけど、喋ったら案外面白い人なんですよ、彼は」と粋な紹介をしてもらい「へ、へへえ、ども」と愚鈍感まるだしで無理やりグループに入れてもらった。

隣に座った方がたまたま仕事関連で近い所にいて割と話がはずむ。なんとか「無言でグループの中で孤立して酒を飲む」という実績を解除せずに済んだ。

つづく