APTベトナム2019(その3 最後)

移動手段には主にバイクタクシーを利用している。grabというアプリで、乗る料金が予め決まっているのがありがたい。

日本人の皆にしつこくバイタク勧めているのだが、誰も乗りたがろうとしない。(目の前で乗って安全もアピールしているゾ)

ポーカー芸人のTomoさんに聞いたら「自分以外の運転は信用できないんですよね」といきなり謎のプロっぽい発言。ネタ作りのために身体を張らないのだろうかと心配になるが、よくよく考えたら、そもそも芸人ではなかったことを思い出した。

プロポーカープレーヤーの一ノ瀬さんにバイタク乗らないのですかと聞いてみたら「あ、僕は大丈夫です」と、さらっと冷たい返事。少し前まで楽しくアメリカ文化(下ネタ)について盛り上がっていたのに、急にワニのように目が鋭くなった。これがプロの眼光か。

ポーカスタジアムのヒゲさんに聞いたら「汗臭いおっさんの掴まるのはちょっと・・・」とおっしゃる通りのこと言う。僕もおっさんに抱き着きたくないので、いつも手ぶらかせいぜい後ろの取っ手のようなところを指3本くらいで握って、バイクに座っていることを思い出し、よくよく考えると、これってもしかして危険なんじゃないかと不安に襲われる(昨日、酔っぱらって落ちかけたし)。

ううん、でも、バイクはいいと思うんだけどなぁ。

渋滞だらけの市内をすいすい動けるし(混みすぎてたら歩道すら走るんやで)、窓越しに見る風景よりも視野が広くて楽しいし、単純に風も気持ちよい(風になれるんやで)。街乗りならスピードも出ないし、案外、安全なのだ(たぶんな)。

お勧めですよ、バイタク。ベトナムに行ったら、ぜひトライしてほしい。

さあ、昨日の続きだ。

13時に間に合うように、会場近くのカフェでご飯を食べる。

肉を食べると引きが良くなる。そんな噂を聞いたことがあり、ステーキ定食的なものを食べたのであった。

ポーカー屋から北に進み、交差点の角の店

さて、試合は一回スチール成功と失敗があり、その後何もせずぼんやりしていたら、残り8人になり、ファイナルテーブルへ出場。ここから少しずつ賞金が上がっていく。

レベルが一つ下がり、2000/4000からスタート。チップは約11万で順位は3位。

JJや88などで3ベット入れながら、小さく稼ぐが、大きくチップが動くことがない。

流れが変わったのはATsの時だ。

フロップにj75とフラドロがつく。小さくベット15000ベットすると、相手から40000のリレイズ。ターンをチェック。リバーで相手に打たれてダウン。中継をみていた友人によると、相手はストレートドローだったらしい。僕が勝っていたのに降ろされた。

そのあと、ハンドが悪くなり、参加できず、A8でオールインし、77に負ける。

アンティだけ残り、アンティオールイン。なぜかここで本日最強の運気を使い、フルハウス。アンティだけが帰ってくる。次のターンで相手がフロップフルハウスを作って、負けてしまった。

結果は6位。賞金は3700万ドン。日本円にすると17万円くらいかな。

あっさりした紙

ベトナムは案外、賞金に関してしっかりしていて、税金を取られた。税金を取られたのはアメリカ以来だ。

そのままの足でモンスタースタックのイベントに飛び込む。

始まって1時間くらいしたところ(150/300)で、AAがやってきた。さっきの試合で来てくれよぉ・・・と文句を言いながらもレイズイン(800)。すると、太ったベトナム人の方がリレイズを仕掛けてきた(1,800)。

太った方、あまり上手ではないプレーヤーだ。というか、あきらかに初心者である。しめしめ、と悪だくみをしている顔を隠してオールイン(22,000)。初心者の人はQQ以上の良いハンドは降りることができないし、すぐに腹をくくる。ギリギリまで粘って粘って、勝ちを取りにはこないのだ。このような変なオールインに対して、レベルとか時間とかチップ量とか考えない。勝つか負けるか、勝負時だ!と決意を決める。

思った通り、太った方が自分のチップが3万点くらいあることを確認し、1分くらい悩んで気合いのコール。ハンドを開けてみると「88」だ。計画通り!

ディーラーはカードを3枚同時に表を見せない。1枚づつ、カードを滑らして見せていくスタイル。

1枚目・・・まさかの「8」が出た。

同じテーブルを囲んでいる3人くらいから「おぉ~~~・・・」と、「こういう不運ってあるよねぇ、まーしゃーなしよな」と意味合いを含む、ドンマイって感じの「おぉ」が漏れる。まじでついていない・・・。

2枚目・・・なんと「A」。

「わお!!」「おおお!」「セッ!オーバー!セッ!!」と5人くらいが、一気にテンション上がる。スーパーハイテンションズ。もちろん僕もヘブン状態になるほどに、喜びが体中を駆け巡る。きたぜー。

3枚目・・・「8」。

「ッッッッ!!!!」「うおーーーッ!」「バッドビートジャックポッドやんこれ!」僕以外の全員が立ち上がり、各々好き勝手なことを叫ぶ。周りからものぞきに来る人が出てくる始末。

4枚目、5枚目にAが出ることなく、1発KOされて、僕のモンスタースタックが終わってしまった。

ついていないにもほどがある

普段、負けたハンドの愚痴などはできるだけ言わないようにしているのだが、こればかりは語らせてほしいと、日本人リーダーの土川さんのところに行き、半べそかきながら、いきさつを話すと「どうして最後にAを出さなかったんや!」とお叱りを受けた。

嘆いてばかりもいられないので、転職を繰り返すジョブホッパーのように次のトーナメントに飛び込む。1万点持ちの20分回しのターボイベントだ。

メインもモンスターも勝ち残れていない、いわば、初心者御用達のトーナメント。スキルを駆使してがっつりチップをかき集めてやるぜい、と鼻息荒く、テーブルに着くと、隣にインドのプロ、Kunal Patniがおる。なんだろう、この草野球にプロが降り立った感。ベトナム観光でもしててくれよぉ・・・。

検索したら、動画とかも出てくる。元銀行員らしい。

レベル2に入った時、あの例のハンドが手元にやってきた。

AAだ。

ごくりと唾をのむ。捨てるわけにはいかないので、とりあえずレイズイン。まだ、25/50 だから、150ほどのレイズ。すると、レベル1でKunalにチップを半分ほど取られたおっちゃんが、5,000くらいのオールイン。やだなー、やだなー、こわいなー。と思いつつ、やっぱり降りるわけにはいかないのでコール。

おっちゃん、ハンドはKQ。

「いやー、あんたのレイズしたチップを貰うだけで良かったんだよぉ」とはにかみながら、言い訳をする、なんとなく人の好さそうな感じ。レベル1でチップを半分失うだけある。

一つ当たっちゃったよ。

アイエエエエエエエ!?ナンデ!?

ごめんね、ごめんねぇ~って嬉しそうにチップを集めるおっちゃん。Qが2枚当たり、僕のAAがまた負けた!

一気にチップが減ってしまった・・・。呆然自失となり、明らかにティルト状態。その後、普段なら捨てている69sで3ベットコールしてしまう。

ボードに66Kと落ち、AKの人相手にダブルアップ。神はまだ、僕のことを見捨てていなかったみたいだ。AKの人、明らかに怒ってた気がする。

ハンドもかみ合わせもよく、あのいわくつきの「88」では、セットが出来上がり、AQなどでもダブルアップ出来た。

チップのアベレージまで戻したところで、ベトナム初のKKがやってきた。強いポケットペアは、若干トラウマやわー、といいつつ3ベット。ショートの方がオールインしてきたので、僕もかぶせるようにオールインすると、別の所からもオールイン。3wayだ。

なんとも不運はことに、AAがいた。何事もなく、順当にAAが勝ち、チップがまたショートになってしまう。AA、AA、KKって連続で負けるって・・・。

ところが、再びAQでダブルアップ。A9でさらにアップとさくさくとチップが増えていく。上がったり下がったり、ジェットコースターのような動きだ。

後半、暇つぶしにポーカーをプレイしているドローを追いかけるお金持ちのおじさんを3回飛ばし(飛ぶたびにリエントリーで入ってきた)、休憩時には44,500ほどまで増えた。アベレージが15,000。現在、43人中27人残っている。なんやかんや、チップの暴力でスチールを繰り返し、気が付いたら、ファイナルテーブルへ。

ファイナルテーブル。数ハンドで、さくっとAKがJJ相手にプリフロオールインで滑って8位で終了。8位から賞金獲得で、8位だから参加費が返ってきたくらいだった。

ちなみにプロのKunal氏は2位だったらしい。ターボイベントでもやっぱりプロは強い。

もう残りは明日のターボイベントを残すのみである。なんとなく、終わりを感じる。あっという間だ。

この日は、日本人の皆で韓国チームが宴会しているところに合流することになった。ビールが冷えていないので、氷で冷やして飲むスタイルだ。

この後、実は一度もホーチミンの繁華街であり観光地のブイビエンを見ていないというと、連れて行ってくれた。

ブイビエン通りは、非常にクラブミュージックが店外まで鳴り響き、非常にやかましく、よくこんなところで飲んでいられるなって感じだ。安宿はたくさんあるのだが、ここらへんで宿を取らなくて正解だった。

最終日。

前回、ベトナムに来た時発見しためっちゃおいしいハンバーガー屋さんでお昼を食べる。細い路地を通り、階段を上り、3階の奥まったところで、まさかの日本人の知り合いに会った店である。

やはり旨かった

そのあと、急いでお土産を購入し、ホテルをチェックアウトする。さすがに荷物があるので、グラブでタクシーを呼んだ。

タクシーを待っている間、ホテルの受付のおばちゃんが「私ね、すごい日本が好きなの」と自分の化粧ポーチから、日本の化粧品を8つほど並べてくる。ベトナムは全体的に親日な感じがする。

飛行機は深夜の1時半に出発する便だ。夜までポーカーを行い、そのままの足で日本に帰る予定である。

ポーカー会場に着くと、APT世話人のウエスティンさんが弱っていた。

顔色も悪く、顔に斑点も出ており、本人曰く関節も痛いし熱もあり、しんどいとのこと。聞くと昨日の試合中からしんどかったらしい。

病院に行くウエスティンさんを見送り、最後のトーナメントへ。

悲しいことに、特筆すべきハンドがないまま、数時間で飛んで終わってしまった。特に惜しい順位でもなく、なんかモブキャラ的な終わりかただった。切ない。

夕方なう。相当時間を持て余す。

メディア席を陣取り、仕方ないのでブログの記事を黙々と書いていたり、近くに来る日本人の方々とお喋りに興じていたら、病院からウエスティンさんが帰ってきた。

「大丈夫でしたか?」

「デング熱っす・・・」

デング熱!!あの数年前に代々木公園を閉鎖し、連日メディアを騒がしていたあの恐ろしい病気ではないか。

「医者に、デング・ヒット!って言われたんですよ・・・」

「ウエスティン、それたぶん、デング・ヒート(熱)やで」すぐに突っ込みをいれる土川さん。弱っていてもポーカー脳のウエスティンさんであった。

感染経路は唾とかではなく、蚊、らしい。ウエスティンさんが今ここで蚊に刺され、その蚊が僕らを襲ったらヤバイのである。

「たぶん、一昨日、みんなで食事に行ったときかもしれないです・・・いっぱい飛んでいたし・・・」ウエスティンさん、急にみんなが不安になるようなことをいう。皆、試合も終わってすることもないので、各々、デング熱について調べはじめる。

僕は蚊にまったく刺されない体質なので、一か所も刺されていなかったのだが、一緒にいたfujiyaさんなど手足けっこう刺されていた。大丈夫だったのだろうか。

そんなこんなをしているうちにどんどん時間が立っていく。

帰りの飛行機の時間がTomoさんと同じくらいだったので、一緒に連れ立って空港に行くことにした。世話になった日本人の皆さんに別れを告げ、ポーカー会場近くのTomoさんのホテルへ行く。ちょうど、クラケンさんもいて少し喋る。

話を聞いていると、Tomoさんは日本に帰るのではなく、今からフィリピンに語学留学に行くとのこと。超絶的なコミュニケーション能力で語学問題をカバーしていたのだが、やはり喋れたほうが断然いいということに気が付いたらしい。クラケンさんは、タイに行くことにしたとのこと。「日本は、今、寒いからねー」と圧倒的な自由人的発言。

日本にいて、大体決まった人と似たような業界で、同じような価値観の人たちと集まっているから、ポーカーをやっているとまったくベクトルの方向が違う人たちがいて楽しい。いつも思う。

空港でビールを少しのみ、Tomoさんに別れを告げ、ガラガラのLCCベトジェットに乗り帰国。半袖で降り立った関空はやっぱり寒かった。

最近は、日本主催の海外トーナメントなどもどんどん増えてきており、いつでもポーカーの大会に出られる環境が整ってきた。スケジュールの調整ができれば、また来たいものである。

まあ、そんなこんなで・・・

ここまで読んでくれてありがとうございます。海外でお会いしたら、ぜひ、声かけてくださいませ。それでは、また!