ACOP2015 その1

アフリカンチキン

朝の4時。まだ夜明け前のうっすらと寒い京都の秋。関空行きのバスに乗るため、とぼとぼと八条口までいつもの旅行バッグを肩にぶら下げ歩く。

マカオで行われる「ACOP(アジアチャンピョンシップおぶポーカー)」に出場する。ただ、今回に限っては、友達の結婚式、トーナメントのスケジュールや予算的なアレで5日間の予定だ(普通に考えたら十分長い)。

いつもなら京都ポーカー界の重鎮ことOさんと一緒に行っているのだが、齢60にして新規事業の立ち上げに忙しく、今回は一人旅である。マカオで一人ってのは、今年初めてだ(マカオは3回目)。

香港経由でマカオに向かう。香港に着いたとき、不覚にも間違って遅い時間のフェリーチケットを買ってしまった。購入してから5 分後に気が付き、早い時間に変えたいから「返金」してくれと頼むと「返金できない」と突っぱねられる。しかも、凄い不機嫌にだ。「お願いしますよー」と再度頼むと「こっちは説明したし、あんたは了承した!そもそもチェックをしないお前が悪い!」と ものすごい勢いで僕を攻めてくる。

感情的になっているおばさんに会話で解決するわけないと早々に説得を見切り、英語も中国語も分からないふりして、僕は「返金」「返金」とチケットを指さす阿呆になりきる。プリプリという表現がこれほど似合う人もいないよなあと見とれてしまうほど、プリプリしたおばさんはマネージャーにプリプリ文句を垂れて「二度目はないッ!」とお金をカウンターに叩き付けて返金してくれた。店員が客にキレるこの感じ、ああ海外来たなあ、と旅が始まったことをしみじみと感じた。

2時半から開始される2000HKのトーナメントに3時くらいに到着して、なんとか少しの遅刻で参加できた。遠くのテーブルを見ると 、スターズとプロ契約をしている木原さんや一之瀬さんらの姿が見える(別のトーナメント)。その他にも海外常連メンツもちらほら。初めて見る日本人も多い。ACOPは参加費が高いけど、その分勝った時に大きいので夢がある大会だ。

さっそく座った席にも見慣れない日本人が二人。まあ、僕もそもそもルーキーな訳だから、大体が知らない人なんだけれどもね。

2000HKの参加者は155人。

座ったテーブル自体はそれほどタフな所でなく、のんびりと誰もチップが大きく動かず進んでいく。トップヒットでオールインしてくる相手にセットで刈り取るなど、順調にチップを増やす。途中、大阪のclub Mの強い人が来るのだが、リバーでまくられまくっていてしんどそうだった。ついていない日はあるよなあ。

テーブル移動後、隣に座った日本人に「今日はQQのペアが最高でしたよ。さっき、AAとか来られてて羨ましいですぅ」なんて軽口を叩いていたらボタンで「AA」がきた。1000/2000で僕は悲しいかな9BB程度。誰かレイズしてこい!念じるとさっそくザガンから6000へのレイズ。雰囲気も強そうだ。誰もコールせず僕のところまで回ってきたので、すかさずオールイン。相手、SB BBはさくっとダウン。ヘッズアップ。ザガンで6000入れた白人の男「ううんううん、なんか嫌な感じするんだよー」となかなか冴え
てる発言。でも、しぶしぶコールした。僕がAAをめくると「ああ、やっぱりそんな気がしたんだよ!」とスーテッドのAKを放りなげた。好(ハオ!)、この時点で僕の勝率は約90%だ!ここに来てハンドがきた。フロップよ、安心させておくれ!

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な ん だ と。あと1枚引かれたら、フラッシュの完成じゃぁあないですか。

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よし。勝率は80%まで回復。すり抜けろ!

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※効果音:ばばーん!フラーーーッシュ!

「いやーすまないねえ」と嬉しそうにチップを回収する白人の兄ちゃん。「きゅ、90%の勝率があったんだよ!ねえ90%だよ!!!お金返してッ!」と2chのFXスレの住人のように取り乱す僕。国内ではこういうことめったにないのに、海外くるとこの負け方多い気がするぜ・・・。

155人参加中の大体60位くらいだった。入賞には、近からずといった順位である。

時間もちょうど夜の7時くらい。キャッシュのウエイティングが30人ほどたまっていたので、名前だけ書いて、去年のACOPで知り合ったトラトラさんと食事に行くことにした。

「どこか美味しいところ知っていますか?」と聞かれて愕然とする。そういえば、いつも誰かしらに旨い店に連れていってもらっているので、場所が分からん!食べたものと美味しかった記憶があるのだが、店名がまったくでないのだ。一人で行動しているときは大体ポーカーテーブルで出前をとるか、ベネチアンのフードコートで済ましている。自分で開拓していないから、覚えられないのだ。

「去年みんなで来た時にここは美味しいって言ってた店あるじゃないですか!そこ行ってみましょう!」とかなり曖昧な記憶を頼りにおぼつかない足取りでベネチアンに向かう。

さらに僕は方向音痴のため、さっそくベネチアン内で迷う。「まあ、ぐるぐる回っていたらきっと見つかりますよ!」と結局ベネチアンをぐるりと半周し、それらしきを見つけなんとか食にありつけた。

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※写真はダックライスだ!(アフリカンチキンは撮り忘れた)

「アフリカンチキンはですね。お店によっていろいろ味が違うんですよ」と自分のフェイスブックのコメントで教えてもらった知識を、さもたくさん食べ歩いているかのようなブラフ(知ったかぶり)を随所に挟みつつ、楽しい時間を過ごす。

CODに戻ると大体のトーナメントは終わっており、キャッシュのテーブルが増やされて、30人ほどいたウエイティングがすべて解消されていた。酒を入れたら、急に疲れを実感してきた。そういえば朝の4時起きだっけ。トラトラさんに別れを告げ、荷物を担いでマカオ半島にとったホテルへとタクシーを走らせる。

ばたんきゅーと、この日はすぐに眠りについたのだった。