APT ベトナム その2

lavender hotel

今回の旅で泊まっているホテルは観光地のベンタイン市場のすぐ近くにある「ラベンダーホテル」という所だ。

部屋もぼちぼち広く、清潔で隣の部屋の音も聞こえない。冷蔵庫もあるし、気になる水回りも合格点だ(朝のシャワーピークタイムが温湯なのは、しゃーなし)。朝食のビュッフェも数が多く、毎日内容が変わるし、なんと卵料理をするコックもいる。値段もこなれていて(日本円で一泊4千円程度)、3つ星のとても素晴らしい宿なのだ。

しかし、一つだけ問題がある・・・僕の取った部屋は、悲しいことに窓がないのだ。

マカオなどでは、いつも遮光カーテンをして、朝日など感じていなかったつもりだったのだが、窓のない部屋では電気を消すと、完全に真っ暗になるので、朝の訪れを感じることができない。

カーテンから零れ落ちる光で朝を認知するのではなく、いちいち携帯や時計に意識を向けて「ああ、〇〇時だな」と確認するステップがこんなに大変なものだったのかと思い知らされた。

「ほあー、朝かー」とまどろみ、自分の心地よいタイミングで起きるのではなく、「今は本当に朝なのだろうか・・・寝すぎて昼になっていないのだろうか・・・」と疑心暗鬼にも似た感情で目を覚ますとのでは脳にかかる負担の量が全然違う。

窓。大事やで。

さて、今日のポーカーの話に戻ろう。本日はメインイベントのDay1Cが行われる日だ。僕は昨日のDay1Bで通っているので、サイドイベントに出場しようと考えている。

ちなみに、参加者の多い大会は、会場のキャパシティなどの問題からDay1 ABCと何回かに分かれて試合を行う。Aに負けたらB以降は出場できなかったり、すべての日程で参加できたりと開催地や運営母体によってルールが変わってくる。

このベトナム大会は、けっこう現地の人に人気があって、大会が始まる前の現地ポーカー屋でのメインサテライトの通過者がなんと100人もいたらしい。

昨日、メインを通過したので関係なかったのだが、メインへの参加人数が多すぎてテーブルが足りなく、3時から予定されていたイベント7も中止になったくらいだ。

テーブルは22卓~23卓ほどあり、満員御礼ウェイティング。

pro poker clubの会場

※会場はけっこう広い。

見事に3時から始まる本日のサイドイベントも中止になり、夕方5時からのDeep Stack Turboのみ。ただ、今日もメインイベントのDay1Cを行うので、満席になることは確実だろう。

夕方5時まで時間があるので、黙々と窓のない部屋で仕事を進める。IT広告系フリーランスは、場所に縛られることなく、PCさえあればどこでも仕事ができる。昔ちょっと流行ったノマドって奴だ。「No~窓、ノマド、ノーマド低収入~」としょうもないダジャレを思いついたので、これを誰かの耳に無理やりねじ込みたい欲求がむくむくと湧き上がってくるが、一人ぼっちなので、誰にも伝えることができず、また文字にすると阿呆みたいなので、メールでも送る気になれない。こういうものは、誰かに会う頃にはすっかり熱も冷めて忘れているものだ。実際、昼になったら忘れていた。

午前中にみっちりと仕事をして、急ぎものは片付いた。少し疲れたので昼ご飯を食べがてら、近所を散策することにした。

ベンタイン市場をぐるりと冷やかし、レタントン通を進んでドンコイ通りへ。夜は繁華街になるという場所などをちらほら見る。

ベンタイン市場 ホーチミン

昼ご飯は、観光客向けの屋台広場みたいなところでフォーを頂く。

フォー ベトナム ホーチミン像

2時間程度プラプラして、部屋に戻ってもまだ昼の2時。緊急じゃないけど月末までには仕上げなければいけない系の仕事に取り掛かる。なんか、普通に日本にいるときと変わらない生活だ。喫茶店でコーヒー休憩を取っているか、ホーチミンをぶらついているかの違いしかない。

夕方に差し掛かり、そろそろポーカー会場へ向かわなければいけない。

昨日はまったくタクシーが捕まらなかったので、対策方法をウェスティンさんから聞いていた。タクシー配車アプリのuberかgrabを使うとよいらしい。せっかくベトナムに来たので、バイクタクシーに乗ってみたいと思っていたのである。僕は教えてもらったGrabを携帯にインストールした。

Grabはスマホで自分の位置情報と行きたい場所を指定して、近所に待機しているタクシーの人たちに連絡するというアプリだ。場所を指定しているので、料金は先払い。事前にカードでアプリ内に入金して、アプリから各ドライバーに支払う仕組みだ。

これなら悪質なタクシーに捕まることはない!これこそが我々が望んでいたアプリだ。マニラやマカオの流しとかボッタくるタクシーがこのアプリで絶滅してくれればよい!

と、絶賛しているが、実際に乗ったことはないので、ちゃんと使いこなせるのかどうか・・・。

とりあえず、ホテルの前とポーカー会場を指定して、予約ボタンを押す。3分後に到着する、という表示が現れて、3分ではなかったが、5、6分後には緑のバイクタクシーがやってきた。ううむ、簡単操作。

「おお、ベトナムでバイクに乗るのか」なんとなく嬉しくなっちゃって、「しゃ…写真とっていい!?」と思わず聞くと、にこやかにポーズまで取ってくれた。

grab ベトナム

緑のメットを渡されて後ろにまたがる。人のバイクに乗るなんて大学生以来だ。

ベトナムの気温は30度と暑いが、湿度がそれほど高くない気がする。なんとなく、夏の終わりくらいの体感温度だ。住んでいる夏の京都があまりにも蒸し風呂みたいな地獄なので、案外どこに行っても快適に感じられる。

外から見ると縦横無尽にバイクが走っている感じがするが、後ろに乗ると、それぞれのバイクや車が絶妙な距離感を持って、走っていることが分かる。マニラのように急発進急停止が多いわけでもなく、案外、後ろに乗っていても怖くない。

風が気持ちよくて、30キロくらいで走るので、街を散策している感じがする。案外・・・というか、凄くいいぞ、バイタク(バイクタクシーの略)。料金もホテルから会場まで11,000ドン。日本円にすると、52円だ!昨日のタクシーに騙されて2,500円払ったのが、後から効いてくるぜぇ、へへへ・・・。

滞在中は、簡単な移動でもこのバイタクを使ったのだが、いつ乗っても若くて礼儀正しい兄ちゃんが多く、やっぱりどこの国に行ってもたちが悪いのはスレたおっさんだということを改めて実感した。

さて、そんなこんなで会場まで喜びに満ち溢れたヘブン状態で到着する。

APTはたくさんのサイドイベントが遊べるのが、限られた時間しかない人間にはありがたい大会である(フリーランスなんだから好きなだけ滞在したらよいと、読者の皆様は思うのだろうが、家庭や仕事の事情があるのであーる。)

意気揚々とエントリーをしようとカウンターに行くと、受付のお姉さんに残念そうな顔で言われる。

「このイベントは、残念ながら中止になってしまったわ」
「う・・そ・・だろ・・・だって、こんなに・・・」
テーブルは空いていなかった。

APT poker

それどころかメインイベントのDay1Cに参加したい人がうじゅうじゃと列をなしていたのである。ウェイティングウェイティングウェイティング。

え、もしかして、今日は一日ポーカーが出来ない日になるのか。キャッシュ用のテーブルもあるわけなく、途方に暮れているとプロポーカープレーヤーの土川さんに出会う。

「ごめん、フェイスブックでお知らせを出したんだけど、1時間前のギリギリになっちゃったんだ。見た?」
「見ていたら来ていないですよ・・・いやはや、どうしたものか・・・」

トンボ帰りにホテルに戻るのも、なんとなくこっちに来た労力が無駄になるような、損した気持ちになるというか、サンクコストを回収したいというか、グズグズと日本人のメディア専用席に座り、土川さんに話相手になってもらう。

このまますんなりとは帰れないので、何かブログのネタになるような話ください。まるでトーナメントが行われなかったことが土川さんの責任かのように、ネタをせがむ、そうだねぇ、とベトナムでのキャッシュゲームの仕組みについて教えてくれた。

ベトナムでも一般的に賭博は禁止されている。しかし、参加者から参加費を募り、それを賞金に充てることは可能らしい。なので、今回のトーナメントも賭博には当たらず、開催が可能とのこと。

それでは、キャッシュゲームはどのように行われているのか。

シットアンドゴー形式で2時間ごとに試合を開催しているらしい。いわゆる、タイムレーキ的の形でレーキを取っているのだそうだ。(でも、やっているのはシットアンドゴー)

なるほどなぁ、なかなか上手い方法があるものだ。と感心する。

その後も土川さんからいろいろとポーカープロとして行っていることなどをお聞きしていたのだが、さすがにずっと僕にかまってもらうわけにもいかないので再び、grabでバイクを呼んでホテルに戻って仕事をすることにしたのであった。

ポーカー日記なのに、一切、カードの情報などを書かない、グダグダな日記になってしまった。こういう時は写真多めだと、お気づきだろうか。

さて・・・

ベトナムのビール

明日はメインイベントのDay2だ。とりあえず、英気を養おう。コンビニでビールを買って、ぼんやりと窓のない部屋でまどろむ、もりゃ~まであった。

 

つづく

APTベトナム その3