APPTマニラ2024.8(1)

APPTマニラ

フィリピンで行われるAPPTマニラに行くことにした。そのことを通っているアミューズメントカジノで吹聴していると「我も我も」といろんな人が参加することが分かる。中でも我が家に一番近いお店「LEJE」の面々は飛行機が同じというじゃないか。

「一緒に行きましょうね」と言ってくれた可愛い女性ディーラーさん二人と海外かぶれのコロンビア君という男の3人は2000年生まれという。圧倒的に若い。昭和生まれの自分としては、立派な大人の余裕をみせなければなるまい。普段のように、ぼーっと口を半開きで阿呆のように突っ立っていてはいけないのである。

飛行機カウンターの列に並んでいるとコロンビア君達がいた。「もりゃ~まさん、大変です。二人、さっそく脱落しました」と謎のことを言い出す。LEJEメンバーは3人とも揃っているのに。

ついに気でもふれてしまったのかしらと首を傾げるが、詳しく聞くと女性二人は、なぜか飛行機の予約時間を間違えたらしい。一人は頭を抱え助けてーと叫び、一人は株価の暴落を眺める投資家のように呆然とした顔をして立っていた。

「・・・それじゃあ、現地でね」あまり言葉を交わすことなく、解散。

コロンビア君と二人になる。若い女性がいなくなったことで、多少は気が楽にはなるが、こやつも若者である。バシっと昭和のおっさんの威厳を見せておかなければいけない。

「ちょっと時間、余ったね~。コロンビア君ー。チミは、空港ラウンジって使ったことあるかいー」「ラウンジ童貞ッス!」「ん~、このカードがあればラウンジで休憩できるんよー。ドリンクも飲み放題なのさ!(ドヤッ)」

スネ夫のように口を尖らせながら、ラウンジ自慢をする僕に対して、スゴイッスという熱い眼差しを向ける若者。ネットで調べれば、いろんな手段でラウンジを使える方法があり、正直たいしたことではないのだが、弱いハンドを強そうに見せるのはポーカーの基本である。

そして、ここが大事なところなのだが、僕もラウンジは使用したことはない。

いくつかラウンジ間違いをしながらも、なんとかたどり着く。小ぎれいで落ち着いた雰囲気はあるのだが、スネ夫が自慢するほどのゴージャスさはなく、ビジネスマンが使う分にはちょうどいいくらいの部屋であった。

向かい合わせに座り、ドリンクバーから持ってきた飲み物を二人で静かに飲む。いい天気ですなぁ、と窓から外を眺めているとコロンビア君が犬のような申し訳なさそうな顔をして「・・・実は昨日から何も食べていないんですよね」とポツリポツリと昨日から今朝にかけての忙しさを話し出す。

そう、二人とも気が付いていた。なぜかこのラウンジは飲食物の持ち込み禁止で、このラウンジの目の前にはサンドウィッチ程度の軽食ができる店があることを。

紙コップに入ったジュースを一気飲みして、5分足らずでラウンジを後にする。ニコニコしながらサンドウィッチをバクバクと食べ、急に女の子と電話を始めたコロンビア君を眺め、なんか自分の人生を見つめなおす、もりゃ~まであった。

さて、APPTマニラは7月25日から8月5日まで行われている。お金と仕事の都合があり、今回は1日~5日までのスケジュールで参加だ。

APPTは本当に昔からある、アジアでは最大級の大会だった。「だった」というのも、最近はAPTや台湾、マレーシアなどの大会が凄い人気で動員数だけでは負けていることもある。

とはいえ、日本でいうならばJOPTのようなもので、歴史とブランドがあり、トロフィーを獲得できることは大変な名誉なことである。プレーヤーの質も高く、ありがたいことに納得がいくバッドビートが受けられるのだ。

運よく前日に日銀の利上げが発表され為替も円高になっていた。手持ちも米ドルや香港ドルがなくなって、日本円を両替しなければならなかったのでラッキーだ。幸先が良い。

4時間の短いフライトを終え、無事にマニラに到着。

空港で配車アプリのGrabを立ち上げるが、まったくタクシーが捕まらない。野良のタクシーは正直ぼったくるので、乗りたくないのだが、本日はこれから試合があるのだ。悠長にタクシーを待つわけにもいかない。

英語が達者なコロンビア君が野良のタクシーと値段交渉してくれる。「彼は、1000ペソならOKだと言っています」と通訳してくれる。頼りになる若者だ(悔しいがモテるわけだ)。Grabを見ると380ペソくらいだ。「あのー。Grabやと、380なんですけど・・・もう少しなんとかなりませんかね」と再度交渉するが、相手にされない。仕方なく1000ペソ支払い、背中を丸め、タクシーに乗り込んだ。

1000ペソかぁとため息をついていると「先に来ている〇〇君は3000ペソ取られたらしいですよ」や「いやー、それにしても、今から試合が始まると思うと、わくわくしますね!」と若者に慰められる(良いやつだ)。せやね、気分変えていこう!おじさん、元気だすよ(マジで)。

タクシーの中で携帯がブルルと震える。立ち上げたままのGrabから「到着したよ」と通知がきた。Grabのキャンセル忘れてた。キャンセル料が取られた。ああああああッ。

そんなこんなで失意のままホテルに到着し、すぐに荷物を置いて、プレーヤーズキッチンでビビンバを5分で食べて、オカダマニラ内のポーカー会場へ向かう。

事前に写真で見ていたのだが、会場が凄い。

円形のガラスの天井に、真ん中にシャレオツなプール。ヴェネチアンのような街をイメージした壁側の店たち。様々なポーカー会場を巡ってきたが、過去最高にかっこいい場所だ。ナイトプールなんて、異世界の代物だと思っていたのだが現実世界で見ることになるとは。

さっそく、ポーカー始動だ。本日は僕の一番得意なオマハだ。

ホールデムよりもオマハの方が向いていることをこの2年くらいで実感している。実はこの1年間テキサスホールデムでインマネ(賞金獲得)はしていない。前回の韓国も前々回のカンボジアもインマネはオマハだけである。過去の海外オマハのインマネ率が30%~50%と良い数値をキープしている。

スタートチップは2万5千点だ。レベル5には、5.5万。レベル10には11.1万点と順調にチップが増えていく。参加人数は54人と少な目。

レベル14でオープンエンドフラドロを追いかけてチップを減らす。ターンで降りてしまったのだが、気合い入れてオールインにコールすれば、2人飛ばしてチップリーダーだった・・・。現在、5万点。

レベル15。ショート2人を飛ばして、18万点くらいまでチップが回復した。そして、ファイナルテーブルに進む、初日から幸先がいい。

レベル16。3000/6000で、残り6人。

やってしまった・・・。AAと分かっていたのに、突っ込んでしまった。普段使わない、タイムカードを2枚も使って考えたんだけど、心が弱っていたのか、完全に集中力が切れて判断が鈍ってしまっていた。状況はこうだ。

配られたカードはKK58。まあ悪くない。僕からのポッドにBBからリポッド!リリポッドも考えたが、一旦はコール。

フロップ。ボードは777。KKフルハウスの完成。相手は4万のバリューベット。なんか怪しいので、コール。

ターンは3でおそらくラグ。相手は6万点のベット。ここで大いに悩む。20秒のタイムカードを使って、どう考えてもこれはAAやろと、頭がこれ以上進むことを拒んでいる。しかし、人間はどうしても都合の良い方向で考えてしまう。バリューに見せかけたブラフに違いないと。

体が勝手にオールインしてしまう。ペロリ。あああ、やっぱりAAだ。しかも、AAK3と、Kはあと一枚しかない。完全なるミスプレイだ。なんのために、フロップでコール止めしていたんだろう。上手なプレーヤーでオマハのことちゃんと知っている人やんか、人を見てポーカーして分かってたのに、分かってたのに・・・。

幸運は起きることなく、リバーでKは落ちず、6位で終了。賞金は62,000ペソで、日本円にして約16万円くらい。メインイベントの参加費(80000ペソ)の足しにはなる感じだ。

とはいえ、初日からファイナルテーブルに残れて、幸先の良い感じだ。

そういえば・・・あとで聞いた話なのだが、一緒の飛行機に乗れなかったLEJEの女性2人、ホテル(エアビー)の手続きでも何か不備があったらしく、その日はカジノで夜を過ごしたらしい。

撮れ高があって羨ましい・・・これだけで記事が1本かけるやつだ。少女漫画なら「おもしれー女」と謎のイケメンが現れて物語が始まる予感すらする。

僕にもこの旅を彩るようなネタが降ってくればよいと願う。前回のフィリピンは病気ネタで、けっこう身体がしんどかったので、健康トラブルは避けたい。

今日も元気だし、明日もきっと元気だろう。久々に参加するメイントーナメント、がんばろう!

つづく