ポーカー日記「WSOP ラスベガス編」 その4

マウンテンデゥー

相も変わらず、眠れぬ日々が続いている。

あれから三日ほど変わらぬ生活を送っている。朝頃に眠くなり、昼ぐらいに起きる。デイリートーナメントに出場し、飛んだらキャッシュを朝の3時まで打つ。少しづつだけど、キャッシュも勝ちが増えてきた。ただ、全部トーナメント代に吐き出しているけれども。

又聞きに日本人ポーカープレイヤーの人に教えてもらった情報によると、WSOPが行われているリオではなく、プラネットハリウッドというホテルで1億円の賞金プール保障のトーナメントが行われるらしい。ラスベガスのどこのホテルでも今の期間はいろいろなポーカー大会が行われている。

同室の京都の元プロのOさんと行こうという話になり、リオのデイリートーナメントに出場せず、こっちのプラネットハリウッドのメインイベントに出ることにした。

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試合はかつてないほど強い人たちのテーブルに入って、苦戦する。明らかに実力の差が違う人がいて、びびる。リオと違って老人の割合も少ない。相手にハンドが入っていないと思えば、Aハイでどこまでも攻めてくる人たち。見ていて気持ちいいくらいフィッシュ狩りをする。序盤、僕もさんざんいじめられたが、一度QQでチェックコールのみという手で一矢報いてからは、少し攻撃対象から外れて助かった。

まあ、それでも一発大きな致命傷をくらい、ショートになってしまう。そこでJQでオールインをしたら3人もついてきた。JとQが落ちてAAを含めた3人からチップをかき集めることができ息を吹き返す。そのあとさらにダブルアップしてアベレージまで戻す。

ディナーブレイクの時間までなんとか生き残る。休憩でふらふらーとしていると日本人の中でも3人のトップクラスのプレーヤーさん達と出会い、3人ともやはり生き残っていた。ありがたいことに、食事に誘ってもらう。もともと無口でコミュ力の低い人間なので、同席してもおどおどしているだけなのだが、海外に行くといつも声をかけてくれる。気の利いたこと一つ言えればいいのだが、黙々と飯を食べているうちに1時間は過ぎてしまった。今回もまた、無愛想な声の小さい奴というテーブルイメージが強化されてフィニッシュだ。なんだか、せっかく誘ってもらっているのに申し訳ない気持ちでいっぱいである。

さて、トーナメントは中盤以降にさしかかり、一手間違えると即死のレベルになってきた。DAY2に進むにはレベル17を終えるか、35人まで生き残るのどちらかである。今日の参加者は300人くらい。あと90人程度残っている。なんどかスチールを繰り返し、チップが平行移動を繰り返す。40人くらいまでは誰も大きくは動かなかったのだが、ここからチップが減りすぎた人たちが「こんだけでDAY2行っても仕方がねえや」オールインが始まり、レベル16に初日が終了した。僕は静かに息をひそめていて15BBほど残して通過。

昼の11時から開始して終わったのが、大体12時くらい。ぐるっと12時間くらいトーナメントをやっていたようだ。さすがに疲れていたのか、わりとしっかりと眠ることができた。DAY2は三日後の行われる。明日と明後日にもDAY1をするらしく、DAY2はまた100人以上になるのだろう。

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(※疲れた時はマウンテンデゥーを飲むといい)

次に日は、いつも通りリオのデイリートーナメント(3時からの235ドル)に出る。毎日ノルマのようにトーナメントに出ている。キャッシュだけを打つ人も多いのだが、なんだかんだ僕はトーナメントが一番楽しい。ポーカー知り合いが増えてくると、キャッシュ至上主義者やプロの意見に影響されて、最後はドンパチになるターボ系のトーナメントなどいろいろ言われることもあるが、レクリエーショナルプレーヤーはそんな意見を気にせずに、ドカンと一発ラッキーパンチをあてに行けばよいのである。毎日1000人規模のトーナメントが遊べること自体、凄いことなのだ。

さて、テーブルに座ると、黒ひげ海賊団の黒ひげみたいなおっさんがいる。陽気なアメリカ系メキシコ人って感じで、ずっと喋っているし、わりと絡んでくる。「お前は酒とか飲むのかい?」「そりゃあ毎日飲むさ」「じゃあ、いっしょに飲もうぜ!俺はもう5杯目になるけど、すげえ調子がいいんだ!」「試合中だからやめておくよ」「おいおい本気か!?飲まないでポーカー打てるのかい」「言われてみればそうだな。日本のアミューズじゃいっつも飲みながらやってるから、飲むか!」「俺のと一緒の奴を頼んでやるぜ!」みたいな感じで、バーボンのロックをちびちびやりながらポーカーを打つ。たぶん、この雰囲気に慣れてきたんだと思う。

この日は妙にハンドが絡む。手もよい。危なげなく、ショート相手のコインフロップも大体勝っているハンドで勝つ。テーブルイメージもよくスチールがみるみる決まる。一度だけ、88でオールインスチールを仕掛けたら、99が出てきて、初めてプリフロオールインで負けてる状況も、さくっと8が落ちてまくる。弱いハンドだけれど攻めなければいけない時も、僕が仕掛ける前に3ベットが入り、降りることができる。バッドビートもなし。

そんなこんなで、気が付けばインマネ確定。877人参加で上位にいる。

昨日に引き続きツイているなあ、この間までの大殺界はどこにいったのやら。なんて言っているとだいぶ前にホテルに帰ったはずの元プロのOさんがとぼとぼとやってきた。

話を聞くと、製氷機で氷を作ろと部屋を出たら鍵を中に忘れたらしい。手ぶらである。パジャマじゃなかったのが救いだ。なんだかんだ、僕も20BB程度なので「すぐに飛ぶと思いますから、ちょいと待っててください。」と伝えて試合に戻る。

しかし、なかなか飛ばない。それどころか、わりと飛ばす。残り4テーブル、3テーブルとなって賞金もじわじわ上がってくる。鍵を借りて帰るかどどうか逡巡していたOさんも「ここまで来たなら最後まで応援するよ」と近くのハイローラーサテ見に行ったり、酒を飲み始めたりと熱烈な応援を始めてくれる。

残り2テーブルになったぐらいに、まさかのハンドラッシュ。KKが三回も入る。AK、JJレベルも一周に一回は必ず入る。下ポケットのオールインもいらっしゃる。そんなこんなで、嬉しいことにチップリでファイナルテーブルに残る。祈りはたまには通じるものである。

チップがある状態でファイナルに残るは始めてだ。ここからは、一人飛ぶたびに10万以上の賞金が上がっていく。5BBくらいのショートも3人はいる。全員があきらかに賞金を意識しているのが凄い伝わってくるし、僕もけっこう気にしている。9位は3000ドルだけど、3位ならば1万5千ドルだ。全然違う。

で、ここでもそれなりに手が入る。真ん中のポケットペア、AQなど、ショートのオールインを受けれる手で参加。バカヅキしていて、見せてるハンドもすべてが強い僕のベットに誰も参加できず、じわりと増やしていく。

ショートの飛ばしあいを上空から眺め、残り4人。6時間前からひたすらにオールインしかしない太めのアメリカ人。フロップ後に自信ニキの消防士っぽいおっさん、オールイン勝負で負けてるハンドからなぜかいつも勝つ帽子の兄ちゃん。

時間は深夜3時。12時間ずっと集中していて、少し皆の顔に疲れが浮かんでいる。

「俺さあ。賞金がこんなに高いところに来たの、実は初めてなんだあ」と帽子の兄ちゃん、急に死亡フラグめいた発言を始める。「実は俺もだ!」と太った奴も何故か偉そうに言う。自信ニキは「俺は1万ドルくらいはあるよ」という。僕も「70万円くらいあるぜ!」って言ったつもりが、単位間違えて700万円て言ってしまい、3人に動揺が走る。

「ど、どうせオンラインなんだろう!」と太ったアメリカ人が俺たちはオンラインできないからな、的な感じで言ってきた。「うんにゃ、マカオなんだわ」ともう訂正するのも面倒なので700万とったことにして、精一杯ドヤ感を出す。「そうか・・・マカオかあ」「マカオねえ」「マッキャァオ」と会話が弾まず、皆、テーブルのカードに目を向けた。

ザガンの時にAAが来た。BBはオールインしかしない偉そうな太めの奴だ。僕は12時間プレイしていて初めてのリンプインをする。フロップ後自信ニキはハンドがひどくてもフロップが見れるならばSBでコールするだろう。太めはこういう時にかならず、スクイーズ的オールインをしてくる。そう予想をたてると、ビンゴ!太め、ちょっと悩んでオールイン。

後ろに自信ニキがいるから、僕も少し考えるふりをして、オールイン。自信ニキは降りる。太めのアメリカ人はKJスーテッド。僕がペロリとめくったAAを見て、自信ニキは「こいつは、生まれて初めてリンプしたんだぜ!?」「分かってるよ!俺もAAの可能性は考えたんだけど!このKJを捨てろってか!?どのみちフロップでトップヒットしているから、かわんねえよ!」とワーワーなってる。ターンでとどめのAが落ちて僕が勝つ。太めは僕よりチップを持っていたので、2BBほど残して生き残る。

次のハンド、太めがSBで僕がBB。やけくそ気味にオールイン。僕の手は3と4。いと弱し。しかし、2BBを降りることも出来ないのでしぶしぶコール。すると太めから、AKが出てくる。ドヤ感がやばい。でもフロップは34K(もりゃ~ま2ペア完成)。ドヤ顔→ポカン顔。相手は2ペア以上作ることできず退場。「ナイスゲームだったぜ!」と笑顔でこぶしを突き出してきたので、僕も右手を突き出して応対。最後は汚い言葉も使わず、わりとジェントルマンで格好良く去って行った。太っていなければそれなりにモテたかもしれない。

残り三人。チップ量は僕が70%。自信ニキ20%。帽子が10%。優勝あるで・・・と、唾を呑む。しかし、ここで痛恨のミスをおかしてしまう。

僕がボタンから5%のチップでスチールを仕掛ける。SBの帽子がオールイン(全体の10%)。すると、BBの自信ニキがなぜかコール。なぜ、オールインでなくコールなのか?しかも、俺が飛んだら賞金はどうなるの?とTDに確認。飛んでも仕方ないハンドで、あえてコール。ポケットだからAがないかどうか、一度コールしてみたいのか?それとも最強ハンドを持っているから、あえて僕からのオールインを誘っているのか?半分入れるなら、全部入れてもいいんでないかい?

ここでもし、自信ニキが勝つと、奴はチップが50%になり並ぶ。僕がここで降りて自信ニキが勝てば彼のチップは35%で、かつ2位までは確定だ。帽子が勝ってニキも上を勝つと、僕が50%、帽子が30%、ニキが20%。

1位は3万ドル、2位は2万ドル、3位は1万4千ドル。

最悪の状況になるとまくられる可能性も出てくる。状況をうまく進めるには、僕が65%のチップを持ったまま、2位と3位を戦わせるほうがよいのではないか?2位を確定されるのもありじゃないか。逃げの思考が頭を駆け巡る。二人を一気に飛ばすという選択肢がなぜか頭から消えていた。

結果、僕は「10K」のハンドを降りる。すると、帽子から出てきたハンドは10Kと僕と同じハンド!自信ニキはなんとA2。帽子のオールインは受けれるけど、キッカー弱いから、僕がオールインしたらどうしようっていう、ただの弱気なミスプレイ!

10とKはドミネイトされていたから助かったかも、なんて一瞬思ったが、無慈悲なことにボードにKが落ちる。参加していいれば、自信ニキを飛ばしつつ、帽子とチョップになり、85VS15という最高の理想形になっていたのだ。

茫然自失として、次のハンドを降りる。そして予定通り、2位と3位がエニハンドで勝負し帽子がカードを拾って勝つ。

これで、65%vs35%だ。気を取り直せ、予定通りじゃないか!

数回チップの交換を繰り返し、70%と30%になり、相手が4Qでプリフロリレイズオールインを僕のA6スーテッドで受ける。そして、4とQが落ちて、相手が勝つ。40%VS60%だ。まくられた!!

そして、相手からは連続オールイン。僕は相手のオールインに対して6ハイまでのカードしか来なくてダウン。気が付けば、20%と80%になる。もう、降りれない。スチールでもいいから決めなければいけない。いまこそハンドよ来てくれ!と歯を食いしばってカードをめくるが、10と7だ。

ずっと降り続けていては勝てない。ブラフでも取らなければ!オールイン!すると相手は1分ほど悩んでコール。出てきたハンドは10とJ。最悪だ。

お互い何もあたらず、Jハイで帽子が勝った。逆転負けだ。877人参加のデイリートーナメント、2位でフィニッシュ。

朝方の閑散としたリオの会場を後にし、Oさんと二人でゴールドコーストまでとぼとぼ歩いて帰る。部屋に戻ると、Oさんがホテルの一階の中華屋で作らせたトマトと卵の固形スープみたいなものがテーブルに置いてあった(メニューにないけど、説明したら作ってくれたとのこと)。缶ビールで小さく乾杯し、二人でズルズルとトマト卵をすすり、ハンドについてあーだこーだ話少し話をしてベッドに潜りこむ。

最後にA6で負け、相手にカードが落ちたのは仕方ないにせよ、あの3人の時の「10K」だよなぁ、ともんもんと考え、身体の中に沈殿していた重い空気を吐き出し、枕に顔を埋めた。

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