APPTマニラ(2018)最後

アボガドミルクシェーキ

1

マニラは暑かったというよりも、雨が土砂降りで大変だった。あまりの雨の量に、僕の部屋の窓の隙間から水が流れ込み、部屋に水たまりができていたほどである。

今日もあいにくの雨だ。海外で雨に降られることほどテンションの下がるものはない。

とはいえ、どうせ一歩もカジノから出ないので、関係ないんだけどね!気分の問題である。

とはいえ、とはいえ、毎日、散歩がてら歩いて向かうプランだったのだが、否応なしにタクシー移動を強いられることになってしまってとても残念である。

初日のタクシーも何も交渉せずにメーターだったが、全体を通すと今回の旅は半分くらいメーターでOKなタクシーに遭遇した。

ラッキーだったのか、それともドゥテルテ政権の影響なのか、タクシー業界の意識が変わってきたのかもしれない。

そういえば、あのベトナム遠征の時に使用しまくった民間シェアタクシーのGRABもフィリピンではだいぶ幅を利かせているらしい。案外そのせいかもしれない。

さて、メインもなくなって後はサイドイベントをちょこちょこと出るだけだ。

今日は、お昼からハイパーターボの試合に出る。10分でブラインドがあがる、文字通りハイパーでターボな奴だ。どうでも良いが、ハイパーとかターボという単語を聞くと、ストリートファイター2を思い出してしまう世代である。

試合会場に足を運び、エントリーを済ませると受付の人に「こちらの試合はあっちの部屋」と会場外を指さす。

キャッシュプレイをするところの片隅でトーナメントが行われるそうである。

メインイベントがAPPT史上過去最高の人数になり、DAY2も会場パンパンに人が入っているそうだ。

一旦会場を出てカジノエリアに戻ると、知り合いのMさんがいた。

大阪在住のカナダ人のMさん、初めはマカオで出会い、そのあとはちょこちょこ大阪で会い、一度だけ京都でも見たことがある、まあまあも顔見知りである。

立ち話をしている時、お互いの席が書かれた紙札を見せ合うと、同じテーブルだった。

割と場の雰囲気をよくし、誰とでも喋る人で、ワイワイと楽しく試合をしていたのだが、僕のA5フロップフラッシュドローオールインにQQでMさんがコールし、僕がリバーでフラッシュを完成させチップの4分の3を貰うと、しょんぼりされてた。(ご無礼)

10分でレベルがあがるトーナメントなので、どんどん人が入れ替わっていく。

「ど~~も~~~」と僕の右側の席に京都のタマゴさんがやってきた。メインのDay2を飛んでしまってこっちに来たらしい。

プッシュするときはどこまでもプッシュしてくるなかなか攻撃的ポーカーが得意なプレーヤーさんである。アベレージくらいのチップでも飛ぶことを恐れないので、打ちあう時は気を付けなければいけない。

なんて警戒していたら、開始5分程度でいきなり3Wayオールインに巻き込まれている!

フロップは567。

タマゴさん、AA!

なんか暗い感じの欧米人のおっさんが、KQくらいのハンドだったかな(うろ覚え)

そして、大阪在住のMさんが89でストレート完成!

ターンでAが出て、逆転の目も出てくるが、当初の予定通りMさんが勝つ。

僕がMさんのチップをガッツリ減らしていたおかげで、タマゴさん、25点というチップ一枚で生き残る。「セカンドポッド!」と周りの威勢の良い掛け声とともに、25点貰って、合計50点!次の試合はもちろんアンティオールインである。

驚くべくことに、アンティオールインが見事に決まる。7人か8人くらいいたので、8倍拳!!タマゴさん、テーブルの皆に祝福される。

ところがどっこい、ついていないことにタマゴさん、ポジションがBBである。先ほども自動的にオールインしたのに、今回も本人の意思とは関係なく身体が勝手にオールイン。

「いやぁー。これで勝ったら面白いですね」なんて軽口をお互いたたいていると、本当に勝ってしまった!おぉ、と驚きの声がテーブルから上がる。

5、6bbになったタマゴさん、勢いに乗って3度目のオールイン(AAの負けを含めると4度目か)。そしてコールの声が入った。

さすがにもうそろそろ負けるだろ、ていうか、負けてくれないと復活してしまうがな。という面白いものを見たいという欲求と、そろそろポーカー的にテーブルから去ってくれぇという眼差しがカードに注がれる。

ワッ!とテーブルに歓声が沸く。

なんとタマゴさんが勝ち、見事17bbくらいまで復活したのである!

「マジっすかー、てかお帰りッス!」テーブルをバンバン叩くと、「イィージィー!」と満面の笑みで親指を立てて、チップをかき集めるタマゴさんであった。

しかし、タマゴさんの幸運はここで尽きてしまい、数ハンド後、その姿は消えていたのであった・・・。

いなくなってしまったタマゴさんの代わりに僕に幸運が乗り移った。

残り20人ほどになった時、信じられないハンドラッシュが僕にやってきた。A5でフラッシュ!A4でフラッシュ!JJでフルハウス!と3連続、チップを増やす。

その後もA7でATを7を当てて倒し、プリフロオールインで、77がAKに対してセット!同じくプリフロオールインで88がATに対してセット!

上位3位に入るほどのチップをもって、無事にファイナルテーブルに進むことが出来た。

10位からインマネだったので、無事に賞金も獲得できた。これで、日本にいるよくポーカーを知らない知人友人に対して「ん~、ああー、今回も小さいけど、賞金稼いできたよ」と平然とした顔でも自慢ができるってもんだ!

インマネを狙っていたショート勢がいなくなり、残り5人になる。

やっかいなのが2人いる。

やせた欧米系老人のブラックバーン氏。バッドビートを相手に食らわせると、カラスの鳴き声をする奴で数年前のテグでもやられたことがある。

もう一人がPete Chen。インマネ193回、生涯獲得賞金2億、WPTなど優勝、APPTプレーヤーオブザイヤーにも選ばれるのアジア屈指の実力者。こんな激安トーナメントで遊んでいないで、メインかハイローラーにいてくれよと正直思う。

サイドイベントのファイナルテーブルは、すぐにチップがなくなるので、少しのミスも許されないのに、案の定、Pete Chenになんどか削られる。

少し硬めに打っていたら、あっという間に全員がショートの時間になってしまった。

ええい、Aがあればなんとなかる!とA7でオールイン。なんとか7をヒット!しかし相手もTを当てる。チップ量がわずかながらカバーされており、ここで試合終了。今回も優勝ならず・・・。

ちなみに獲得賞金は、47600ペソ(参加費は8000ペソ)。約9万円くらい。ううむ、旅費ですな。

 

2

 

次の試合まで2時間くらいあるのでスタバでコーヒーでも飲もうかしらん、と歩いているとたまたまメインイベントのDay2を終えた見知った二人の男性を見かける。京都組のARさんと海外常連のFRDさんだ。

「メイン飛んじゃったよ~」「僕はなんとかインマネっす!」「凄いね!よかったね!今からお茶するんだけど一緒に来る?」「是非!」ということで、COD内でFRDさんお勧めのお店に連れて行ってもらう。

2年か3年ぶりに会うFRDさんは雰囲気が変わらず、ニコニコとしながら「文章のテンポがね。テンポがいいんだよね」と僕のブログを褒めてくれる。会うたび褒めてくれるので、僕のブログを書くモチベーションになっている。

すっかり海外常連になられてしまったFRDさん。海外常連の方々は、その独自のネットワークで美味しいものや面白いところをたくさん知っている。「ここの名物はね、アボガドミルクシェークなんだよね。だまされたと思って飲んでみてよ」とFRDさん。

アボガド+ミルク+シェークという、まったく脳内で味がシミュレーションできない単語の羅列にARさんも僕も一瞬たじろぐが「名物ならば一回くらいは飲んでおかないとね」と、30代、40代、50代のおっさんが仲良く背中を丸めながら薄緑色のシェークを飲むことにしたのであった。

なんと、これが実に美味しかったのである。

アボガド的なものをイメージしていたのだが、どちらかというとメロンに近い味だった。

アボガドミルクシェーキ

あまりにも美味しかったので、チューチューと子供のようにシェークをストローで吸い続けていたら、僕が四分の一くらい飲んだ段階でまだ二人とも四分の三くらい残っていた。ペース配分を間違えてしまったか!と気が付いた時にはすでに遅い。こういう所の一つ一つの所作がポーカーに関係してくるのだろう。

ポーカーやポーカー以外のことでワイワイと盛り上がったのち、次に試合になったので、各々お互いの幸運を祈りつつ解散。

サタデースーパースタックという名の試合。2万点持ちの30分回しのストラクチャーである。メインDay1 Day2で敗れた人の受け皿になる試合なので、実質これが2番目に参加人数が多い試合になるだろう。

序盤はやはりとんでもない素人さんが3人くらい入れ替わり立ち代わり入ってきた。

日本にいると、ある程度強くなってから参加しようと思うのだが、現地にいる人たちにとってポーカーの大会へのアクセスはわりと容易なので、本当の初心者のような人がふらりと入ってくることがある。

そのような方々からありがたくチップを頂き、順調に増やしていく。

しかも今日はあの滑りに滑りまくったAKやAQで勝つではないか!AK vs AQ や AQ vs AJなど、通常通り強いハンド勝てるのである!

普通に確率通りに勝てることに感動する。特に運気が悪かったわけではないけど、AKだけは鬼門だったので、嬉しい。

さて、しばらく時間がたち、僕のチップは7万点まで増えていた。

400/800のブラインド。手元にAKs。ポジションはボタンである。今日はいい感じだから、おじさん、レイズリレイズリリレイズしちゃうぜ!

アンダーザガンから2300のレイズ。このオリジナルの人、このマニラで4回目くらいの同卓する日本の若い方だ。ハンドがかなりしっかりしているし、ちゃんと降りるときはきっちりと降りる人だ。

コールが2人。ぬーん、できればヘッズがいい。てか、ポッドもいい感じなのでこのまま終わってもいいや、と思い、12000のリレイズ。

すると、オリジナルレイザーの日本の方、40000点にリリレイズ!コールした二人はさくっとカードを捨てた。

むむむむむ!

4回も同卓しているので、僕のイメージやハンドレンジもある程度は先方も分かっているはずである。僕はといえば、特にミスプレイらしきミスプレイもなく、どちらかというと、ポケットがセットになる場面やAがらみの強ハンドばかり相手に見せている。

ちなみに相手は10万点以上持っているが、僕の全部の7万点を受けるとわりと精神的にくるものはあるはずだ。

何度も同卓したので、軽く言葉を交わしてて、失礼なこともない。話をした感じなんとなく優しそうな印象を受ける。個人的な確執で打ってきているわけでもなさそうだ。

と、なると、考えられるハンドは「AK」か「KK」、または「AA」の3択しかない。つまり、「引き分け」「30パーセント」「10パーセントの勝率」が僕の待っている未来だと考えられる。

おまけにコールが2人もいたから、Aが消えている恐れもある。

僕のチップは7万点。根性コールして、滑ったら大惨事だ。

ポーカーはワンハンドの戦いやないんや・・・そう言い聞かせて、今大会、初めてAKsをプリプロップでダウン。

「AKsをプリフロップで降りていたらいつポーカーすんねん・・・」と休憩までずっとこの言葉が頭の中をぐるぐるぐるぐると駆け巡る。

普段は相手のハンドなど滅多に聞くことはないのだが、ずっとさっきの言葉が渦巻いて精神衛生上よろしくないので、休憩の時にそれとなく聞いてみようともじもじしていたら「いやー、あれAAだったんですよ」と向こうから教えてくれた!スーパーナイスダウン!

休憩になると、腰や足腰のコリをほぐすため、ぶらぶらカジノ内を歩くようにしている。このナイスダウンに「いやーいい仕事したわー」とルンルン気分で歩いていると、たまたま海外常連でもあり大学の先輩でもあるADさんに出会う。

あまりにも嬉しかったので今のナイスダウンの話をADさんにすると、煙草をふーっとひと息吐いて「気をつけろ。そう言って油断させているだけかもしれんぞ」と穿った返答。ああいつものADさんだなぁ、とほっこりする。

僕は煙草は吸わないというか、むしろ苦手なので、短く挨拶を交わし席に戻る。

ここから大きなポッドを手に入れることなく、時間だけがじわじわと進んでいく。

この試合も2Dayイベントである。

本日の試合はあと2ラウンドというところまでやってきた。

レベルも10以降になると、大体、ショートで一発を狙っている人と吸収して大きくなった人達と大きな差が出てくるようになる。

僕はといえば、15bb程度の一発を狙うポジションにいた。

できれば、10bbで通過はしたくない・・・。願うならば20bbぐらいは最低でも欲しいところだ。

ATがやってきた時にオールイン。すると、スナップでコールされたらAQが出てきた。

うう、確率通り負けてしまった。

僕のポーカーレベルでは、インマネするにはあのハイパーターボのようにバッドビートを相手に与えるくらいでないと難しい。

気が付けばまた夜中の2時くらいになっている。

毎日毎日ポーカー漬けだ。幸せであるが、ちゃんとご飯は食べたいなと思う今日この頃。実は今日も休憩の時に食べた肉まんが晩御飯だった。

さて・・・残りは2試合。最後まで頑張ろう。

そういって、カジノで遊ぶことなく、ふらふらとした足取りで雨の中、近くの部屋の中に水たまりができるホテルに帰ったのであった。

 

 

ポーカー最終日は、11時半に起きた。最近は、毎朝5時か6時に起きていたので、不思議な感覚である。

急いで仕事のメールを返し、依頼がきている案件を手掛け、身支度を整えカジノに向かう。

実は、あんまり得意ではない6MAXに出場する。

そんでもって、あんまり得意でないので、まだ人数も絞られていないレベル6の200/400で負けたのであった。(44でオールインするとA7がコール。リバーで7が落ちて試合終了)

少しだけ時間が出来たので、再び昨日のレストランでアボガドミルクシェークを飲みに行く。身体が高カロリーのものを求めている。

ついでにこの旅行中はろくなものを食べていなかったので、早めの晩御飯ということでハンバーガーも頼む。普通に美味しい。

そして、本旅行最後の試合、NLH ターボに参加。参加費は10000ペソ(約2万円)。1万点持ちの15分回しだ。これも序盤でガンガン飛ばしていかないと、すぐに終わってしまう試合だ。

レベル3くらいの序盤。突然、オールインする人が現れた。動きを見ていると、初心者っぽい。僕のハンドは88。2オーバーなのは確実だろうが、まずは運試しだ!

予想通り相手はAK。悪くない悪くない、と思っているとフロップにKがあたり、さくっと終了。

開始45分・・・ハイパーターボでは5位までいけたのだ!おかわりだ!と再度エントリー。

レベル5。手元にはまた88。どこからかレイズインが入る。ガンガンいくぜ!と思ってリレイズするとオールインが飛んでくる。2度目は勝ーつ!とオールインを受けると、相手はまたもやAK。そして、同じようにフロップでKが当たって、試合終了。

見せ場もいいところも何一つなく、最終日は序盤で消えるモブキャラとして終了してしまった・・・。2度も同じハンドで同じように負けてしまい、心はすっかり負けモード。これ以上やってもお金の無駄であろう。これにてポーカーは終了だ。

時計を見ると、まだ7時半である。

せっかく京都からも何人も来ているのだ。最終日くらいご飯でも行けたらいいな(お腹いっぱいだけど)。

誰かしらカジノにいるだろう。ちょっと見て回ってみるか、とプラプラ歩いていると、ARさん、カンプさん、タマゴさんの京都組の男性全員がプログレッシブポーカーで遊んでいた。

「席空いているよ」

と勧められるままにテーブルにつき、僕もみんなと一緒にカジノゲームに興じることになった。

プログレッシブポーカーというゲームは簡単に言うと、ディーラーVS客のテキサスホールデムだ。

フロップとターンで追加で賭けることがことができるのが特徴。

AAやAKなどのハンドにはボーナスがつくなど、なかなか面白い。

だから皆、最初にAが配られたら2枚目を見ないで伏せておき、最後のショーダウンの時にゆっくりと時間をかけてカードを捲り、ボーナスがつくかどうかを楽しむという、バカラ的な遊びを自分たちで加えてキャッキャっとはしゃいでいた。

ルールをようやく覚えた頃、ARさんが「A来た!もしもう一枚来たら、買ってきますよ!」と残りの二人に熱い視線を送る。聞くと、今日は昼ぐらいからずっとここで遊んでいて、まともにご飯も食べていないらしい。そこで、AAが来てボーナスが支給されたら、ホットドックを買い出しに行くことになっているとのこと。

「よっしゃ!」とARさんガッツポーズでAAを決める。

「もりゃ~まさんもホットドック食べます?」と親切にもプログレ新参者の僕にも気を使ってくれるARさん。悲しいかな、2時間前にバーガーを食べてわりとお腹いっぱいだったので、その旨を伝えて気持ちだけ頂く。

ARさんが買ってきたホットドックを片手にむしゃむしゃ食べながら、延々とゲームを続行する京都組。

サンドウィッチ伯爵がサンドウィッチを発明したのは、偶然でもなんでもなく、ただの必然だったんだな、と皆がホットドックを食べている姿を見て妙に納得。

続いてタマゴさんがAAを引いてボーナス獲得。映画プラトーンのように両手を上げて喜びを表現。

これは・・・みんな、外に飲みに行くようなテンションではないぞ。

そうと決まれば、腹を決めて久しぶりにカジノにどっぷりと遊ぶか!と前のめりになると、速攻お金がなくなっていく。自分の許容範囲にすぐにタッチしてしまった。僕はギャンブルの才能が恐ろしいほどないのである。

むーん、継続かどうか・・・。カード系のカジノゲームは正直人生で勝てたためしがない。

最小ベットでダラダラ悩みながら遊んでいると、テーブルのボードがとても怪しいカードの配置になっていた。

ロイヤルストレートフラッシュの可能性が見える。必要なのは、AとJのクラブだ。

ちなみにナイスミドルのカンプさんが、A一枚見て、もう一枚は見ないで伏せているらしい。クラブのAとJの二枚持っていれば、ロイヤルだ。

「ロイヤル引いちゃいましょうよ~」と皆、軽い気持ちでワイワイと囃し立てる。

「あれ、俺のA何色だったっけ?」「僕がハート持っていたので、三分の一でありますよ」

ぺらりとカードが1枚めくられる。

「ッッッ!!!」

なんと、Aはクラブだった。これでロイヤルドローだ!

ロイヤルストレートフラッシュを引いたら、ジャックポッドである。目立つところに表示されているテレビ画面に表示されているあのビッグな金額、100万以上のマネーが貰えるのだ!

「ロイヤル!ロイヤル!ロイヤル!」と4人で口を揃えて合唱。

ディーラーゆっくりと伏せられていたカードを表にする。

僕らの目の前に現れたカードを見て、テーブルの全員、一瞬言葉を失う。

Jのクラブだ。

ロイヤルストレートフラッシュが完成した!

ジャックポッドだ!

ナイスミドルのカンプさん、席をスッと立ち、三歩後ろに下がって「おっしゃ!!」と喜びの声を上げる。

僕らも遅れて「おお・・・おおお!おおおぉぉぉーーーッ!!!」と各々立ち上がり「ロイヤル!」「マジロイヤル!?」「出るん!?」と単語のみが口から出てくる。

騒ぎが気になって見に来たフィリピン人もテーブルを見るなり「ロイヤルやんけ!(意訳)」と声を上げる。人が人を呼び、僕らの周りはあっという間に人だかりが出来た。

ディーラーをやってる青年「3,4年働いているけど、生まれて初めてロイヤル出しましたよ」と驚いている。

30分以上をかけて入念にカードや機械をチェックをした後、ようやく賞金がカンプさんの手に渡された。

さて、僕たちは何事もなかったかのようにゲームを続行するが・・・なんとなく一つの区切りがついた感がある。

まだ帰る時間ではなかったので、僕は好きなクラップスをするため、一旦、皆に別れを告げ席を離れた。

しかし1時間もしないうちにボロ負けし、懐も心も寂しくなって皆の所に戻る。すると、プログレッシブポーカーではなく、バカラに興じていた。ううむ、博打好きな方々である。

もちろんバカラに誘われる。ギャンブルの中でもバカラは圧倒的に弱いので「後ろから見てるだけでいいですよ」とハイスコアガールの日高的な事を言うのだが、案の定まったく通じず、結局座ってチマチマプレイをすることになる。

自分を信じたら負けるのだ。ロイヤルを出したカンプさんを信じればよいのである。人間罫線ってやつだ。

そんなこんなで勝ったり負けたりしているうちにどんどん時間が過ぎていく。

バカラの結果よりも、気になることがあった。

カンプさんの後ろで、片言の日本語を話す謎の40代後半くらいのおばさんがうろちょろしてる。カンプさんが勝ったり負けたりするたびに「ナイス~」「次は〇〇ネ~」なんて言いながら僕らの椅子の間を縫って顔を出してきている。

「ロイヤルストレートフラッシュ出した時からずっと後ろにいるんだよね・・・」眉を潜めて、小声でひそひそとカンプさん、教えてくれる。

故・青木雄二のマンガ『ナニワ金融道』に出てきそうな、おばさん・・・というか、オバハンという表現がぴったりな人が「飴、食べる」と僕にも接触してくる(飴は丁重にお断りした)。

勝ったり負けたり一喜一憂するのを楽しんでいる最中に割り込んでくるもんだから、時折変な空気になっている。しかも、似たようなオバハン友達が3人くらい、タガログ語で僕らのテーブルの後ろで喋り始めていて、少しやかましい。

何より何が目的なのか分からないので不気味である・・・。若くて綺麗なスラリとした女性ならば、美人局もあるのだろうが、その線も薄そうだ。

「カジノ内で揉め事は起こらないだろう」+「万が一、危ない人であっても皆はカジノ隣接のホテルに泊まってるのでそうトラブルに遭遇はしないはずだ」と意を決してオバハンに話しかけ、丁寧に我々をそっとしておいてくれないかと頼んでみる。

すると「ちょっと後ろで見てるだけでもいい?」と食い下がるではないか!?

「ジャックポッドを一緒に祝ってくれて、場を盛り上げてくれているのが大変ありがたいのですが・・・」と、できるだけ相手を尊重しつつ、丁寧に何度か退去願いを伝えると、数分後、ふっといなくなった。

皆の間にも「ようやくいなくなった~」と安堵の空気が流れて良かった。久しぶりに役に立った気がする。この後も謎のオバハンは姿を見せることはなかった。

結局、この日はホテルに帰ることなく、朝の飛行機の時間までカジノで遊んだのであった。結果かい?もちろん、マイナスさ!

 

久々の貫徹。フラフラになりながらホテルの前からタクシーに乗り込む。飛行場への帰りのタクシーも、不思議なことにボッてくることなくメーター計算だった。あまりにも払ってなさすぎな気がして「ツリはとっておきな!」と100円くらいのお釣りをチップとしてあげる。

今回は病気にかかることもなく(外にほとんど出ていないからかもしれないが・・・)、お金を騙されることなく、平穏無事に過ごすことができた。これが・・・経済成長している国の変化なのか。

ポーカーでは、小さいがなんとかインマネが一つあり、リエントリーが多かった分だけきっちりマイナスになった!

そろそろ大き目の賞金を取らないと、僕のポーカー軍資金がやばくなってきそうだ。

今回の大会は、海外ポーカーを初めて98回目のトーナメントだった(サテライト含まず)。

次回の海外は個人的な記念となる100回目のトーナメントになるので、気合いを入れたいところである!

それでは、また次の海外トーナメントで!

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