APPTマニラ(2018)その2

1

泊っているホテルの名前は「Red Planet Hotel」。今回のポーカー会場から徒歩8分くらいに位置する安宿である。大体、税込みで一泊4000円程度で泊まることができる。

部屋は狭く、冷蔵庫はないけれども、どうせ一日中カジノに入り浸っていて、寝るだけの場所なので、これで十分なのだ。

Red Planet Hotel manila

後で友人に聞いたところ、ここは海外ポーカー常連勢のいつも泊まるホテルらしい。

近くにコンビニが三つ。カフェ、ラーメン屋、ピザ屋、ジョリビー、中華料理屋が歩いて1分圏内にあるので、1週間くらい滞在するなら飯も特に困ることもないので、次回来るときもここに宿泊しようかと思っている。

フィリピンに来たなら取り敢えず1回は行っておかないと気が済まないジョリビーでハンバーガーを食べ、散歩がてら歩いてシティオブドリームに向かったのであった。

ジョリビー

今日は12時からのチャリティイベントに参加する。20分ごとにレベルが上がり、5000ペソのエントリーで5000チップスタート。5000チップ以下であれば、リエントリー可能で、レベル7の終わりにアドオン1000ペソで10000チップ貰えるという、まるで日本のアミューズメントカジノを彷彿とさせる内容だ。

最初に座ったテーブルはのんびりとした所だったのだが、すぐに別のテーブルに移される。いいなと思うテーブルの滞在時間はいつも短い気がする。気のせいだろうか・・・。

5000なのでチップの増減はあっという間だ。

再びあの仕事をしないトリオの一人、AQsが手元にやってくる。昨日から負け続きで、もうこのハンドには正直うんざりしている。コストばかりかかるくせに、全然稼いでくることがないのだ。ええい、スチールで十分だ、と20bb程度をオールイン。すると、A2にコールされ、リバーで2が当たりさっそく負ける。

「始まって1時間くらいだし、金額も安いから・・・。ほら、チャリティーだし!(?)」と言い訳にならない言い訳をしながらリバイ。ケチってダブルリバイではなく、シングルリバイだ。

次にやってきた勝負手は4のポケットである。

レベルも4を超え、5000チップだと、何もしなくてもショート気味になる状況。ポケットだ!エイヤ!とすべて放り込むとAKにコールされる。すると、なんということか、セットになってダブルアップした!

―――流れが変わった。

神秘なるオカルティズムに脳内を支配された僕は、数ハンド後にやってきたあのいつものAKoで勝つ気満々でオールインをして、あっけなくJJに全部刈り取られ、怒ってダブルリバイして、お金が減った!と嘆くのであった。

嘆きに反比例して、僕の寄付金がきっと誰かの役に立つのだろう!This is チャリティーイベント!(Yeah!)

休憩の時、本日から参加される京都の面々が到着したようで、会場に姿を現し、挨拶を交わす。

祇園のRiverというポーカー専門店のオーナーのARさんとマーコさん。最近メキメキと腕を上げているナイスミドルのカンプさんと、まったく僕と同じ年には見えないタマゴさんの4人だ。

海外で出会うと、いっつも京都で顔を合わせているのに、なんだか特別な感じがする。非日常の時間を共有しているというか、非常時には頼りにしたいというか、なんとも言えぬ見えない結束感のようなものを感じる。

ポーカーをプレイする人物の9割がいい年をしたおっさん、という条件さえなければ、マッチングビジネス的なものの展開もできそうな気がするよ。

皆は6時からのメインに出場されるそうだ。それまでは少し休憩するらしい。

「またのちほど~」と仲間たちに一時の別れを告げ、大きく息を吸い、呼吸を整え、再び勝負に集中する。

 

2

 

チャリティーイベントは、リエントリーの締め切りで人数も確定。86人程度で10位まで賞金が出る(10位で参加費ぐらい)。1000ペソ払って貰えるアドオンで数ハンドは遊べる程度にはチップを取り戻す。

しかし、これといった特筆するようなプレイもなく、レベル10になるころには、じわじわじと減り続けて、5bbにまでなり(入れるタイミングもなかったんよ!)、自然死までのカウントダウンが始まってしまっていたのだった。

カードが配られる。ぐぐぐ、と力と気持ちを込めてカードの端をめくると、2が2枚。もう贅沢を言っていられない身分なのは重々承知なのだが「2かぁ・・・」と何とも言えない思いが吐き出される。仕方ない。

なるべく強そうに見えるように、両手を使い、チップをゆっくりと前に押し出しながら、低い声で「オールイン・・・(強いゾ)」とできるだけ雰囲気ある感じを演出する。

BBの人、僕のチップ量を一瞥して「うーむ・・・」と一呼吸つき「コール」とチップを一枚宙に放り投げた。彼のハンドはTJo。たぶん、僕の演出はなにも効いていない。

すると、ありがたいことに本日2度目のセットを引けるではないか!昨日は一度もセットなど引けたことないぞ!

見事、10数bbのショート気味に帰ってくる。

1周もしないうちに今度は88が手元に。もちろんショートなので、オールインだ。僕はオールインが好きな日本人なのさ。

村上春樹的表現が似合いそうなイケメン白人が、やれやれ、と肩をすくめてオールインをかぶせてくる。

僕にとっても何度目になるか分からないオールインだが、彼も同じようにこの状況を何度も経験しているだろう。

「AQ」とつまらなそうにカードを見せる彼に対して僕も無言で88のカードをテーブルに並べた。

開かれた5枚のカードの中に、8とAがあった。彼はAを引いたが、僕も2連続目のセットを引いた。彼は少し悲しそうな顔をして、僕はチップをさらに2倍に増やした。嬉しみー。

そこからしばらく時間が過ぎ、相も変わらず下手くそな僕はチップを減らす。

15bbになった際、99でオールインをすると、3連続目のセットを引きまたもやダブルアップ。猛烈にツキが回ってきた感じだ。セット祭りじゃー!(Yeah!!)

残りの人数も20人になり、インマネも10人からと発表された。

もしかするともしかするかも!とパチンコの予告のような期待を胸に抱き、ATで大好きなオールイン。

日本人のシュっとしたイケメンさんがAKでコール。

なんと!Tが当たる!これはインマネフラグ立ったんじゃないか!

ハヒ!?ス、ストレートだと!!!

インマネするときって、一回や二回は必ず相手にバッドビートを食らわすことが多い。ここで競り負けているということは、今日はインマネする日ではなかったのだ。きっと・・・。

「すいません・・・」とイケメンさん。「いえ、もともと負けているハンドですしね・・・これからメイン出てくるんで大丈夫っス!頑張ってください!」と強がりを言って、「あと、10人だったのになぁ」ととぼとぼと席を立ったのだった。

 

3

 

時間は6時半。

6時からメインイベントのDay1Bはスタートしているので、既に少し遅刻。とはいえ、45分のゆっくり目のストラクチャーなので、そこまで焦って入ることもない。

とりあえず、エントリーだけすませ、昨日食べたあの肉まんを再び胃の中に収め、おっとり刀でレベル2の終わりくらいから参加したのだった。

テーブルには見知った顔の人が一人。大阪の有名なプレーヤーさんだ。軽く会釈を交わしテーブルをウォッチ。飛びぬけてアグレな人もいなければ、変な初心者もいない。ある意味普通のテーブルだ。

少し離れたテーブルに京都の面々も見える。途中休憩時などにチラチラと覗きに行くと、みんな順調にチップを増やされているようだった。

昨日のようにすこぶるハンドも悪いわけではないので、じわじわとアベレージ以上をキープし、ゆっくりと落ち着いたポーカーをプレイする。

大きな変化が訪れたのは、レベル6か7くらいの時である。

台湾の元スターズプロのChen An Linがやってくる。

この人スターズに契約する前から何度も同席したことあるが、本当に強いんだよなぁ。スターズと契約した時も「そりゃそうよなぁ」と勝手に納得していたくらいだ。

ポーカーランキングのデータベースをチェックすると、やはり生涯獲得賞金を億越えしていた。ポーカー億り人だ!

案の定、全然ブラフが効かない。強い時は逃げられるし、みるみるチップがChenに吸い取られていく。何か致命的なテルでもあるのだろうかと心配するレベルにやられる。

そんな時、Chenとヘッズになった際、TJsで入ったハンドでフロップフラッシュが完成した!

あと1枚同じ色が落ちたら、Aハイフラッシュに負けてしまう恐れがあるが、今回はできるだけリスクを取りたい。いつもと同じプレイをすると、絶対逃げられる。実際強いハンドでは全然勝てていないのだ。いつもと違うプレイをあえてしなければこの人からはチップは奪えないはずだ。

オッズ、エクイティ、GTO、確率なんてこの際考えては駄目なのだ。確実に相手の方が格上で、自分のさらに一つや二つ先のことを考えられている状況だと認識しなければ負けてしまうのだ。計算や経験は判断の材料なのだが、答えそのものではないのである。

ポジションが先の僕はチェック。すると相手は少なめにベット。もちろんコール。

ターンはラグ。変わらず僕はチェック。Chenは急にポッドサイズほどの大きめなベット。ここで、リレイズをかけたい気持ちをグっと抑え、コーリングステーション。

そして、リバーで色がかぶる・・・。

ああ、やってしまった。スロープレイがもたらす最悪の状況だ。ChenがターンをA持ちのセミブラフで大きく打ったのであれば、かなりきつい。

そんな絶望感はまったく出さず、僕はチェック。すると、相手も少し悩んでチェックした!あ、もしかして勝ててる!?

喜び勇んで自分のカードをテーブルに広げると、相手は同じ色の9Qsだった!二人ともフロップフラッシュだったのだ!僕がJのフラッシュで相手はQのフラッシュだから、負けていた!スロープレイで助かったのは、僕の方だったのである!

隣りのプログラマーっぽい中国人が「凄いね!被害が最小だったね!よかったね!」とめっちゃ褒めてくる。僕もなんやかんや負けてチップ取られているけど「命拾いしたよ!」と弱弱しく微笑んだのであった。

命拾いしたものの、結局負けは負けだ。スタートの3万点から6万点の間をずーっと行ったり来たりして、なかなかチップが増えない状況が続く。

レベル9を過ぎたころに猛烈な眠気が襲ってくる。座っていて、腰もつらくなってきた。

既に日付は変わっており、12時からポーカーをしている僕はかれこれ13時間以上ポーカーを打ち続けていることになる。

昨日もサテライトからメインに出場しているので、長時間プレイしているはずなのだが、昼のチャリティーイベントでの激闘がけっこう影響している。

隣に座っている日本人のSさんも「眠いですねぇ・・・」と呟いているし実際に眠そうだ。時差があるから、日本時間だと既に夜中の2時を回っているくらいだろう。

この頃は子供が朝の5時に目を覚ますものだから、大体12時までには就寝している。それでなくとも2時までには寝るように心がけている中年のおっさんにはこの時間帯を非常に厳しいものがある。

レベル10になり、現地時間の深夜2時半を過ぎる時、完全に集中力が切れる。

A5で3ベッドを入れて隣のプログラマーっぽい中国人の方に降りてもらおうとしたら、コールされる。

フロップ、Aが当たったので強めに打ってもコールされ、むきになってターンで全部入れると相手からAがらみの2ペアが出てきて試合終了。1日を通して隣のプレーヤーがフロップでコールした場合はハンドが入っていることを分かっていたのに、あまりにも眠くてしんどくて頭が動いていなかった。

ポーカーは1手で終わるゲームなのだ。飛ぶ度に思い出すのだが、飛ぶまで思い出さない。

昨日は終わり方のあっけなさに、悔しさで一杯だったのだが、今日はもう、身体が辛すぎて何も考えられない状態だった。ただただ疲れていた。

これで、メインイベントは終わりである。情けないことに2回もDay1で終わってしまった。

京都の皆はまだみんな残っているようだった。僕の分まで頑張ってください・・・と、遠くの席に座っている方で念を送る。

残った日本人のSさんにも「頑張ってください・・・僕はもう疲れました・・・」と別れを告げ、フラフラとした足取りで会場を後にしたのであった。

つづく

APPTマニラ(2018)最後

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