APPTマニラ(2018)その1

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僕の数少ない自慢できるステータスの一つに、「病気になりにくい」という項目がある。

海外の屋台で食べていても、特に体調を崩すことがない。こんな僕なのだが、唯一マニラだけ寝込んでしまった経験があり、そんな理由から、しばらくマニラは敬遠していたのであった。

しかし、マカオでのスターズの大会がなくなってしまい、APPTをプレイっできる環境が限られてしまったことを理由に、久しぶりに足を向けてみることにした。最後にマニラに遠征したのは、2015年なので、3年ぶりになる。

今回は関空を夜9時に出発する便でマニラに向かう。到着はもちろん深夜だ。

昼の往復だと6万円ほどしたのだが、夜便だと3万5千円くらいまで安くなったのだ。これなら、安宿に前泊する方が断然に安い。

狭苦しいLCCに太い体を滑り込ませ、男一匹、もりゃ~ま、マニラへ飛ぶ。

睡眠を妨害されたり、ひじ掛けに足を置かれるなどのトラブルもなく、無事マニラに到着。

夜中ではあるが、夏の京都より常夏のフィリピンの方が断然涼しい。(というか、最近の京都は頭がおかしくなるくらいに暑いぞ)

熱帯地域特有の空気を肌に感じながら、意気揚々と空港の外に出た。一人旅なので誰も迎えなど来ない。適当にタクシーを拾って、ホテルに向かわなければいけない。

「はあ、タクシーか・・・」

思わず深いため息が漏れ、過去の経験がフラッシュバックする。マニラのタクシーは本当に悪質で、大体ほとんどの奴らが値段を吹っ掛けてくるのである。

たかだか数百円なのだろうが、なんとなく気に食わなくて、タクシーに乗るたびに毎回「メーター。メーータァーー!!(相手の言い値ではなく、走った距離の支払いにしろという意思表示)」って大声で交渉するのが、本当にうんざりさせられるのだ。

特に空港タクシーは100%の確率でボってくる。

この件を昔、一年の大半を海外で過ごしているポーカープロの土川さんに相談したら「僕も毎回、高めに払わされているよ~」と仰っていた。あんなに日本人ばなれした肌の色で、顔が怖い人でも吹っ掛けられているのだ。菩薩のような僕なんて、ボラれまくって当然なのだろう・・・。(※ちなみに土川さんは紳士で誰に対しても分け隔てなく優しくて親切!)

だから、今回の旅からは数百円程度なら我慢しようと腹を決めていた。

若い時は「望むものを得るためにお金を使う」のだが、年を取ってからは「望まないことをしないためにお金を使う」と誰かが言っていた。

僕も今や立派な中年だ。小さい子供に話しかけるときも「おっちゃんはなぁ~」が一人称になっている関西のオジサンなのである。年相応にお金を使おうではないか!数百円で不快を避けるのだ!

僕は多めにチップを払う大金持ちになったかのような意識改革を行い、空港ロータリーに列をなして今か今かと口を開けカモを待っているタクシーのドアをノックし、ホテル名を告げる。さあ、いくらだ!いい値を言いたまえ!追加で1000円くらいなら、喜んで払おうじゃぁないか!

タクシーの運ちゃん、何も言わず、メーターのボタンを押して車を発進させたのだった。

 

 

今回参加するのは、APPTと呼ばれるネットポーカー最大手のポーカースターズが開催する大会だ。

僕が初めて参加した海外トーナメントもAPPTであり、初インマネも同大会で、なんとなく思い入れがある。同時期に韓国でAPTが行われているのだが、京都の知り合いも多くAPPTに参加すると聞き、かなり迷った末、APPTの大会に決めたのだった。

特に今回はスケジュールが良い。

負けて飛んでも、暇になることなく、ずっとポーカーができるのだ。メインの参加費が安いのもありがたい。

昨日の到着から一晩明け、本日はサテライトとメインイベントに出場する予定である。いきなりメインに行くのも気がひけるので、サテライトでカードを触り、海外の雰囲気に慣れておきたい。

ホテルの1階で食事を取ったあと、のんびりと歩いてポーカーが行われる会場シティオブドリームス(COD)に向かった。

パッタイ

※フィリピン一発目の食事は、タイのパッタイだーー!

COD、まだ出来たばかりのカジノだ。確かまだ10年もたっていないはず。マカオにいるかのような雰囲気とあのCOD特有の匂いがする。ポーカーをプレイしにカジノ来たなぁとしみじみと感じる。

カジノで日本円をペソに両替している際、両替スタッフの女の人がいろいろと喋りかけてくる。「どこから来たのか」とか「何をするのか」といった他愛のないことだ。カジノのスタッフってわりと無愛想な感じがするのだが、今日の人はわりと愛想がいい。

「いやー、実はポーカーするためにわざわざ日本から来たんだよねー」とヘラヘラした感じで答えていると「ん!?ポーカー!?ちょっと待って!」と奥から紙を取り出してきた。

「普通に両替するだけなら、1日ホールドできるんだけど、ポーカープレーヤーさんは、ポーカーの全試合終了日までホールドできるのよ」

まーじか。空港で5万円も変えてしまったがな・・・。

来る前に「#APPT」でいろいろ日本人のツイート情報見ていたのだが、この情報は持っていなかった(または見つけれらていない)。

お盆休みでこれから来られる方のためにこの有益な情報を拡散しなければ!とツイートするが、誰にもリツイートされることなく、自分の拡散力の弱さを自覚させられるだけの結果に終わる。(いいね二つは知り合い!)

もりゃ~まさんのツイート

大量のペソをタイトなバッグにねじ込み、ポーカー会場へ。

普段キャッシュゲームなどをやっている2階のあの場所ではなく、一度カジノフロアを出てスターバックスなどの様々なお店が並んでいる通りにある、多目的用のホールが今回の会場である。会場は見渡す限りテーブルで埋め尽くされており、マカオの大会と比べてもまったく遜色がない広さだ。

そんな大会場の隅っこの方でサテライトが始まった。

サテライトなので、そもそものチップ量が少ない。なんとか序盤で増やさなければ・・・。

と、思っていたら、さっそくAAがやってきてさくっとダブルアップ。おーこれは幸先がいいやつかも、と思っているとどんどんハンドが噛み合って、気が付けば20数人の参加者が残り5人。4位が32,181ペソ、3位から1位までが55,000相当のメインの出場権利である。

上手い具合に5位までがさくっと決まり、残りは4人になり、賞金獲得が確定。

そんな矢先、AKsが手元に来る。どうせなら、僕じゃない3人で戦っていて欲しかったのだが、これは行かざるを得ない・・・。

オープンで3bb入れると、後ろからオールイン。むむむ、僕が仕事せねばいけぬのか・・・。仕方なしにコールすると相手からはAJが出てくる。

フロップ!

ファッ!?

Jヒット・・・だ・・・と・・・

ターンリバー!ラグ!

ファーー・・・。

相手は「Oh, Sorry」なんて言いながら悲しそうな顔をしてるが「That poker・・・」とこわばった笑顔を見せると「Ohh, sorry」とちょっと嬉しそうな顔に変わった。まあ、分からんでもないが腹立たしいのぉ。

プレイの際中は「4位でも3万ペソあるから、もし負けてもちょっと払えばいいやー。ラッキー・ハッピー☆」と考えていたのだが、いざ負けてしまうと「なんで残り2万ペソも払わなあかんねん!」と急に駄々をこねる関西人になるから不思議である。

「サテライトの参加費がそもそも1万ペソやったから、結局、合計3万ペソ払っとるやんけーーーッ!」と怒りのメインイベント、レジスト完了。

メインイベントDay1Aは続々と人が集まっている。僕はサテライト終わりから入ったのでレベル2からなのだが、この時点で200~300人くらいいる。

これといったハンドは来ないが、テーブルがそれほど難しいわけでもなく、有難いことに軽くテーブルを支配できていた。

とてもやりやすいけど、これといった噛み合わせがないまま、アベレージをうろうろしていると、ワッペンを付けた雰囲気がある人が入ってきた。

Natural8ってワッペン・・・どこかで見たことあると思ったら日本人プロの一ノ瀬さんが契約している所だ!

その後、次々とこのナチュラルさんの友達っぽい人が「お前とかよ~勘弁してくれよ~」と言いながら入ってきて、ナチュラルさんとガンガン打ち合う。3betがそこまで入らないソフトな感じなテーブルだったのに、ガラリと変わってしまう。あんなに平和だったのに、一気に銃弾が飛び交う危険な地域になってしまった。

もちろん、僕も変なブラフがナチュラルさんにつかまり、一気にチップを減らしてしまう。うう、昔はよかったのぉ・・・。

ずっと最初から一緒だった奴らがどんどん吸収されていき、最初から座っていたのは僕と斜め向かいの四角い顔した韓国人の兄ちゃんだけになる。生態系が完全に崩れたと悲しむが、これがポーカーなのだ。

さてさて、たまーにやってくるAKやAQがまったくをもってヒットしない。TT以上のペアもサテライト以降一度もやってこない。もちろん、セットもなく、フラッシュの存在は都市伝説かと疑うほどに見たことがない。じわじわ時間と共にチップだけが減っていく。

なんとか一矢報いたい・・・。ギリギリと歯を食いしばっていると、テーブルブレイクした!

僕にとって辛いテーブルになっていたから「まあ一矢など報いなくてもええんや~、次がんばろ~」っと気を引き締めるのだが、もうこの時点で僕のチップは20bbを切っていたのであった。

レベル9。一つのレベルが45分あるので、6時間半以上も生き残っている。さすがにこの時間になると新しいテーブルも緩い感じではなく、皆緊張感を持ってピリピリとポーカーをしていた。

APPT マニラ

※参加人数が585人。大体半分くらいが減っている。

数ハンド待つと、本日仕事をまったくしていないAKsが手元にやってきた。たぶん、サテライトのあの負けから6回くらい来ているけど、一度も勝てていない。なんか勝てる気もしない。

僕の右がミニマムレイズイン。僕がかぶせるように15bbをオールインした。もうこれはスチールで十分だ。

次々と皆フォールドし、オリジナルの小さいおっさんと僕だけになった。小さいおっさん、ざっと見た感じ35~40bbくらいはありそうだ。

とはいえ、そのチップ量ならば僕のオールインを受けるにはそこそこのカードが必要かと思われる。

小さいおっさん、悩む。そして、なんだかエヘラエヘラと口元を歪ませ、にやけた顔をしながらコールした。

ハンドは「25s」!

変な照れ隠しで笑いながらコールするなら、降りてくれよ・・・。当たったらどうすんねん。

フロップ!すり抜け!

ファッ!?(本日2度目)

おっさん!リバーで2当たってしもうたやんけ!!!

小さいおっさん、にやけた顔で「sorry~」とふにゃついた発音でもごもご言い、唖然としている僕の前からエヘラエヘラと笑いながらチップをかき集めたのだった。

プリフロールインが勝てない・・・。そもそもついていない日はフラッシュを引けない。今日はもちろん引けていない(捨てたカードも含め)。

え、これでメイン終了?あっけないというか、消化不良感がパない。

ええと、サテライト、お金追加で払っているけど、あれ通ったことにしてもう一回出るってのもありだよね。ありよね。ある意味サテライトが通っているもんね!6万円で参加してるから、半額セールだったもんね!!

と、何度も明日のDay1Bに出場してもいいんだよ、と自分を自分で説得しながら、とぼとぼ帰ろうとしている時、ふと画面を見ると別のトーナメントの経過時間が見えた。まだレベル2のトーナメントがある・・・。

そう、メインイベントがあまりにも人数が多かったため、サイドの15000ペソのトーナメントが後ろの方にリスケされたのである!

「リベンジや・・・。サイドでわいは一花咲かせるんや!」

と急いで飛び込むものの、僕と同じ野心を持った賭博師が多かったのか、テーブル4つ空き待ちというなんとも微妙な札を渡されて、しばらくウェイティングとなる。

 

3

 

待っている間、ぼんやりと床に座りながら、仕事のメールの返信をしていた。カジノ内でないからか、けっこうPCを開いている人がいる。wifiも人が多いときは繋がりにくいが、大体つながる。

1時間後、ようやくテーブルに座れた。

座ったテーブルをぐるりと眺めると、さすが初日の初日で飛んだ奴らだ、皆なんだか弱そうな顔つきをしておる!(たぶん、傍から見れば僕もそうなんだろうな!)。

座ってすぐ、またあの曰く付きのハンド、AKsがやってくる。本日7回目の滑りか!?3bet入れるもののコールされ、フロップ何もあたらず、ドンクベットを打たれ、根性コールするもののターンでも何も当たらず、相手にオールインされて、フォールド。くぅ弱い。

2周くらいした時、僕が別のテーブルに移動させられる。

慌ただしいなぁ、なんて思って次のテーブルに行くと、今度はKKがやってきた。サテライトでAAを出して以来のプレミアムなポケットだ!

アーリーからレイズが入る。ミドルからリレイズ、さらにミドルからリリレイズ!

キター。ビッグポッドだ。

ミドルの3betと4betの人はどちらかがAKは確定だろう。AAの可能性もあるが、KKがAAに負けるのはもう仕方がない。でもAKに負けるのは、ちょっと悔しい。

・・・フロップ見てからオールインしよう。今日の流れだと、プリフロオールインは絶対負ける。

僕がコールすると、最初のオリジナルレイザーがかなり悩んでコール。逆に3betした人がフォールドした。

3プレーヤーになる。

フロップ

よしAはない。AAでない限り、ほぼほぼ僕の勝ちだ。

オリジナルがチェック。次に4bet入れた人がオールイン。僕も同じくオールイン。そして、またもやオリジナルが悩んでコールした。

ハンドはオリジナルが78
4betさんがAK
僕がKKだ。

AKさん、は~~っと深いため息をつく。78さん、4betコールしたのもこれを待っていたんや!とばかり目を燦燦と輝かせている。

ファッ!!?(本日3度目)

まさかのAKとKKの2ハンド参加で1時間以内に終わってしまったのである。

勝負どころで全部負けてしまった・・・。サテライトも賞金もらえて喜んでいたが、よくよく考えるとバブルみたいなものだ。

こんな調子で大丈夫なのだろうか・・・。

なんとも惨憺たる思いで背中を丸め、虚空を眺める。

ああ、お腹すいた・・・。でもお店に行くほどの気力はもうない。

にくまん

コンビニで肉まんを買う。パンの部分が多い。

これからの日々、この肉まんが晩の主食になるとはこの時はまだ、もりゃ~まは気が付いていなかったのであった。

つづく

APPTマニラ(2018)その2

 

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