MPC24 メインイベント当日

ハードロックカフェ

ホテルの一階にコンビニが出来ていた。

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今泊まっているINNホテルはタイパ島の真ん中に位置しており、近くにカジノはないが、まあぼちぼち安いので比較的よく利用している。去年の頭までは名前が違ったのだが、なんだかリニューアルしたらしい。一人ならば、ポンテ16周辺の安宿だが、二人いれば中くらいの宿に泊まれるのでありがたい。

京都のグルメで有名なポーカープレーヤーのOさんに教えてもらった水餃子が美味しい店でお昼ご飯を食べる。誰かといるとつい頼みすぎてしまう。僕らの大好きなトマト卵炒めや水餃子を食べ、本日のメインイベントに向けてテンションを上げていく。

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メインイベント前にメインイベントのサテライト(予選)に出る予定だ。2500HKもするけれども、6人に1人はメインに出場できるので、そんなに難しそうに見えない感じがする。

気持ちが先走っていたのだろうか。予定よりも早い時間に会場に到着して時間を持て余す。

聞けばY氏は大小をやったことないというので機械式の30HKから安く遊べる大小の台に連れて行きレクチャーする。簡単なゲームなのですぐに覚えて「いや、案外おもしろいっスね!」と気に入ってもらえた。僕はバカラよりも大小が好きなので、こうやって地道に大小布教活動をしている。

機械式大小は日本のコイン式ゲームセンターに置いてあるような物だ。手元のタッチ式の画面に大小の盤面が映しだされ、大や小にプレーヤーはお金を賭ける。6台の機会が円形に設置されており、中央に3つのサイコロが入った巨大な透明な筒がそびえ立つ。一番多く賭けたものが、手元のサイコロを降る赤いボタンを押す権利が与えられる。損をしすぎたり、熱くなりすぎた大陸系のおばはん達が力いっぱいボタンを叩きつけるため、いつも数台のボタンは壊れて機能しないのがこの機械大小の特徴だ。

うりゃッ!おりゃッ!と赤いボタンを叩く度、損失を増やしていくY氏を子供を見守るような眼差しを送り、Y氏の反対に賭けて少しづつ儲けを増やす者の名はもりゃ~まと云ふ。機械大小は一番賭けた人が負ける仕組みだと前々から思っていて、熱くなったボタンプッシャーの反目でわりと勝てている。

Y氏の初期投資がなくなり僕が投資額の60%ほど儲かった頃、ようやくサテライトの時間が訪れた。「よっしゃ!いっちょやったりますか!」とコキコキと骨を鳴らし、鼻息を荒くしてテーブルに着席する。今回はY氏とはまったく別のテーブルだから、なんとなく気持ちは楽だ。

チップはたったの2500の15分回し。いきなりクライマックスだ。のんびりと相手の様子など見ている暇などなく、レベル1でもさっさと勝負に出れるならば出たほうがよいチップ量である。

とにかくハンドよ来い!さくっと最初に取れなければ、すぐに自然死する。

一生懸命、念じているたのだが、まったくこないまま100/200に突入。ここでようやく初めてのポケットが手に入る「55」という弱いポケットだ。でも、もうこのレベルならAハイでもコールしてもらえる。1700ほどのチップを投げ込むと「KK」にコールされ、何事もなく、僕のサテライトが終了する。

昨日と同じようにY氏も僕の後を追うようにすぐに飛ぶ。

またもやメインイベントまで時間を持た余すことになる2人。聞けばY氏はクラップスをやったことがないらしい。それなら、ということでCOD(シティ・オブ・ドリームス)の向いにあるヴェネチアンホテルに足を運ぶ。

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クラップスの席は満員で、しかも超盛り上がっている。真っ昼間から凄い盛り上がってやがる。いかんせん、説明が必要なゲームなので、できれば少人数の時にやりたかった。仕方ないので、ヴェネチアンの最新のエアー機能搭載の機械大小に連れて行き少々時間を潰す。今回は僕が負けた・・・投資額の100%負けた・・・。

さて、そんなこんなでレッドドラゴンの開始時間の7時になる。

Y氏は予定通りレベル1から参加するらしい。僕は人数が少ない状態での序盤が苦手なので、レベル2の中盤くらいから入りたい派だ。人数が揃わないと、低いレベルからブラフ参加しなくてはならず、ハンドでプレイしているエンジョイプレーヤーの僕には辛いのである。

クラップスクラップスと言っていたら、ものすごくクラップスがやりたくなってしまった為、レッドドラゴンの開始時間である7時からクラップス開始した。どうして僕が投げると2投目に7が出るかのか。熱くなりかけた時には既に1時間たっていて、チップを賭けたくて震える手を必死に抑えながら、中途半端の負けになんとか自分を納得させる。ギャンブルは自分を納得させられるかどうかが重要なのである。

メインイベントのテーブルに向かうと、普段は空きスペースになっている会場の外側にまでテーブルは設置されていて、今日も今日とて人が多いことが伺える。

「おお、こんな端っこまであるんやねえ」なんて独り言を呟きながらテーブル番号をちら見すると、そこが僕のテーブルだった。

テーブルには1人、生涯獲得賞金が10万ドルを超えてる関西の有名な日本人プレーヤーがいた。お互い顔はよく知っているが片言しか喋ったことがなく、こくん、と会釈。後は見たことのない顔ばかりだ。いつもここ一番という時に、スターズプロだとか大会常連プロなど、辛いメンツに囲まれていたのだが、今回はそこまで大変そうではなさそうだ。

予定通り、50/100から入る。45分回しかと思っていたが40分回しで、メインイベントとしてはやや早いストラクチャーだ。最初は様子見を込めて、ゆっくりとハンドを待つ。

ゆっくりとハンドを待つ。ゆっくりとハンドを待つ・・・。ゆっくりと・・・・。

いつまで待っても何も来ない。

仕方ないので、ミドルポジションで10KやJQでもぞもぞと動き出す。うまい具合にJQがフロップ2ペアになるも、テーブルで一番弱い素人にどこまでも着いてこられて、リバーでまくられる。KQでQヒットした時も、ターンで相手にJQの2ペアを作られてバリュー取られる。変な噛み方をする。

それにしても、三日間を通してAQ以上orJJ以上のハンドが来ない。200/400になった今も一度も来ない。せめて、AKを一回だけでも見せておくれよ、とチップに祈りを捧げるが、奴らは僕に愛想を尽かしたかのように別の人間の元へ去っていく。きー。

有名プレーヤーの方もハンドがまったく来ないようで、時折いらっとしながらカードを捨てていた。

4人ほどあからさまに下手な人がいるのだが、案の定じわじわ別の人に減らされていっている。こういうのを眺めているだけっていうのは非常に辛い。どれくらい下手かというと・・・150/300の時、5000しか持っていない上手いプレーヤーが900のレイズをする。すると下手な白人BBが3600のリリレイズをかます。きっとリスチールのつもりだったのだろう。上手い人はため息混じりに5000をオールイン。すると下手な白人は降りたのだ。チップも2万以上持っていて、後1400出すだけなのにだ。相手のチップも確認せずにオールインって言葉だけに反応していたっぽい・・・。

そうこうしているうちに、何もハンドが来ないまま6000まで減ってしまう。200/400だから15BBか。

「88」が来た。中国的には縁起のいい数字だ。ずっと固くプレイしていて、一度もオールインをしていない。そろそろスチールも出来る頃だろうと、チップを全額前に押し出す。

5万くらい持っているSBに座っている弱いチップリのおじいちゃんが、ううんと悩みながらコール。するとさっきの下手な白人が40BBくらいをオールインしてきた。うわぁ、さすがにこれは強いやつやんけ、と目の前が暗くなる。そして、おじいちゃんもチップリだからまあいいかって何故か半笑いながらコール。

白人から出てきたのは「10,10」。そしておじいちゃんが謎の「4,4」。15BBのオールインってそんなに効果がないものだっけ・・・。なんでもコールしそうなチップリ爺さんに向かって40BBぶち込む方もアレだし、4のポケットでコールしてしまうおじいちゃんもアレだ・・・。

そしてゆっくりとフロップがめくられる。

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白人に10のセットが出来て、4のおじいちゃんの負けがほぼ確定。8の僕はまさかのオープンエンドがついた!

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この瞬間、もっとも必要のないカードが現れた。Qでも7でも引き分け。8しか勝つすべがなくなった。てか、この三日間で初めてのセットを引いたと思う。悪夢のセット。

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うーん。終わった。消化不良感が半端ない。

とぼとぼとY氏の元へ向かうと、Y氏もあと10BBになっていた。なんだか、25000点のビッグブラフを自分より弱いプレーヤーにキャッチされたらしい。完全に目がチルってる。僕が話しかけた10秒後に「67o」でオールインして、AAに刈り取られた。

「すまん、僕が話しかけたばかりに・・・(不運を呼び込んだ)」
「いや、いいんです。ドミってないハンドで突っ込もうと思っていたんで!」

ちょうど同じタイミングで同じ京都から来ているARさんも飛んだみたいで、三人で近くのハードロックカフェに入り反省会。

「あのビッグブラフさえ捕まらなければ・・・」「AQ以上orJJが結局一度も来なかった・・・」「QQが負けてしまった・・・」おつまみを一口かじりたびにそれぞれがそれぞれの辛かったシーンをフラッシュバックのように思い出し、定期的に会話が途切れる。今日で皆トーナメント終了なのだ。

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※コンボセット。急にアメリカーン。

特にARさんは前日の5000HKでも3000HKでもあと少しでインマネって所で負けたので、全てのトーナメントを通しての後悔が一気に押し寄せているようだ。万病に効くと呼ばれる神秘の黄色い泡水を呑んでも、全然顔色がよくなることはなかった。僕もFXで120万円を一瞬で溶かした時のこんな感じのオーラを出したことあったので、共感は出来たのだが、今それを口にしてもなんとなくずれているし慰めにもならないので、黙々とナチョスをやけ食い。

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※ナチョース。あまりの多さに結局半分も食べることが出来なかった。

明日、何しましょうねえ・・・と謎の別れの挨拶をしてARさんと解散。

ほんと、何をしたものか。